国宝『一品経懐紙』
鳩摩羅什の翻訳した妙法蓮華経(法華経)は、章のようなひとつのまとまり「品(ほん)」が28あり、数品がまとめられて8巻で構成されている。 この一品経懐紙(一品経和歌懐紙とも)は、法華経の28品のそれぞれ1品ずつを主題として、平安時代末期を代表する歌人らが歌を詠んでいる。
懐紙(かいし)は元は公家らが装束の懐に入れていた紙で、平安時代末には詩や和歌の清書をするようになる。 一品経懐紙は現存する和歌懐紙では最古級のもので、寂連や西行らの貴重な真筆とされている。 当初は法華経28品と同じ28枚か、それに開経の無量義経と結経の観普賢経を加えた30枚だったと考えられるが、江戸時代の記録ではすでに現在の14枚がまとまって伝わっていたとある。 西行の懐紙のみ掛軸になっている。
この国宝を観るには
所蔵する京都国立博物館の特別展や名品ギャラリーで公開されるほか、他館への貸し出しもあるので、1~3年に1度程度は観る機会がある。
公開履歴
2022/10/22~12/4 五島美術館「西行-語り継がれる漂泊の歌詠み」
2019/10/12~11/10 京都国立博物館「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」
2018/10/13~10/28 和歌山県立博物館「西行」
2017/7/25~9/3 京都国立博物館「至高の書跡」
2016/5/3~5/22 大阪市立美術館 「王羲之から空海へ」
2014/9/13~10/13 京都国立博物館「古筆と手鑑」
2013/7/13~8/4 東京国立博物館「和様の書」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-631
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00092-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】一品経懐紙(西行、寂蓮等十四枚)
【ふりがな】いっぽんぎょうがいし
【員数】1幅、1帖
【国】日本
【時代・年】鎌倉時代
【所在地】京都国立博物館
【国宝指定日】1952.03.29