国宝『弥勒仏坐像(試みの大仏)』
高さ39cmの木造仏で、東大寺の大仏を作る時の試作として作られた仏像という伝承があり「試みの大仏」と呼ばれているが、実際に作られた年代は平安時代初期頃だと考えられていいる。 東大寺の初代別当である良弁僧正の念持仏という伝承もあり、かつては法華堂(三月堂)に安置されていた。
木地を活かして彩色を顔の一部にとどめた檀像(だんぞう)で、中国では白檀や紫檀などの香木を素材として作られた檀像だが、日本では香木が手に入りにくいため桜やヒノキ等が用いられ、この像には榧(かや)が使われている。 右手は正面に向けて上げられる「施無畏印」を、左手は地面に軽く触れる「降魔印」や「触地印」と呼ばれる印を結んでいる。
この国宝を観るには
不定期だが東大寺ミュージアムで公開されることがある。
東大寺ミュージアム以外での公開履歴
2024/7/6~7/21 MIHO MUSEUM「奈良大和路のみほとけ」
2024/4/29~5/12 山口県立美術館「奈良大和路のみほとけ」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-3932
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00131-00
【指定名称】木造弥勒仏坐像
【ふりがな】もくぞうみろくぶつざぞう
【員数】1躯
【時代・年】平安時代
【所有者】東大寺
【重文指定日】1901.03.27
【国宝指定日】2015.09.04
【説明】榧を代用材として用いた檀像で九世紀前半の製作とみられる。鎌倉時代には良弁僧正自作の弥勒霊像として尊崇されていた。頭部を大きく肩幅を広くとり、小像とは思えぬ雄大な造形を示す。官営造仏所の系譜を引く工人の手になる平安前期南都造像の代表作である。