土偶 縄文のビーナス[茅野市尖石縄文考古館/長野]

土偶 縄文のビーナス[茅野市尖石縄文考古館/長野]

国宝『縄文のビーナス』

妊婦を模ったと思われる30cm弱の土偶で、粘土に雲母が入っておりキラキラと輝いて見える。 長野県茅野市の棚畑遺跡からほぼ完全な形で発掘された。 集落の真ん中にある広場のような場所の小さい穴の中から発掘された。

下半身が大きく膨らんでおり、頭は何かをかぶっているように見え模様も入っているので、帽子や髪型だといわれている。 目は吊りあがって細く、鼻や胸はつまんで尖らせたような形状をしている。 手は横に三角に出された形で省略した表現をされている。

この国宝を観るには

茅野市尖石縄文考古館では、企画展への出展時などを除き『縄文のビーナス』が常時拝観可能。 同館には同じく国宝の土偶『仮面の女神』も原則常設展示されている。

茅野市尖石縄文考古館

住所:長野県茅野市豊平4734-132
料金:大人¥500、高校生¥300、小中学生¥200
時間:9~5時(入館は30分前まで)
休館:毎月曜(休日の場合を翌火曜休)年末年始(12/29~1/3)
アクセス:中央道茅野インターから約25分
公共交通:JR中央線「茅野駅」からバスで「尖石縄文考古館」※火・金・土・日・祝は1日6本、他は1日3本

文化財登録データ

【台帳・管理ID】201-10063
【指定番号】00037-00
【指定名称】土偶
【よみかた】どぐう
【員数】1箇
【時代・年】縄文
【出土】長野県茅野市米沢棚畑遺跡出土
【所在地】茅野市尖石縄文考古館
【所有者】長野県
【重文指定日】1989.06.12
【国宝指定日】1995.06.15
【解説】本件は、棚畑遺跡から出土した縄文時代中期の立像土偶である。 遺跡は、八ケ岳西南麓に位置し、昭和六十一年、工業団地建設に先立って調査され、台地上約一万平方メートルの範囲に、縄文時代中期の住居跡約百五十軒、土壙多数からなる、南北二つの相接した環状集落であることが明らかにされた。本土偶は、このうち南環状集落の中央広場内、深さ〇・三メートルの不整形な土壙内から、完全な形で、右体側部を下にして単独で出土した。 棚畑遺跡出土の土偶は、立像の大形品で、ハート形に縁取られた顔に切れ長の目、遠慮がちな小さい鼻、あどけなく開けられた口がなんとも愛らしい。頭頂部は沈線による渦巻文が描かれて平坦、側頭部周辺は半肉彫の文様で結髪が表現され、後頭部には粒状の貼付文一箇と、割付け線のようにも見える細沈線で、幾何学的な文様が加えられている。耳は、粘土を小突起状に貼り付け、小孔を穿つ。両腕は左右に伸ばして扁平な突起状に表現し、胸には小さな乳房を貼り付る。 下半身の造形は、特に豊満に誇張され、腹部は小さく深く開けられた臍の孔を中心に、やや下がり気味に突出し、明らかに妊娠状態を表現する。また、下腹部には、弧線で画された左右対称の半肉彫文が股間近くまで施される。背中はよく磨かれて弓なりの曲線を描き、大きく飛び出した尻にまで至る。脚は太く、末広がりの筒状で直立するが、なぜか右足の方が左足よりも若干短い。 土偶は縄文時代早期に出現し、弥生時代の到来と共に姿を消す、“ひとがた”に象った祭祀遺物で、現在までに全国で出土した数は一万五千箇以上といわれる。これらは時期、地域ごとに造形・表現が多彩で、それぞれに大きな特徴がある。なかでも、縄文時代中期、中部高地から関東地方西部を中心に栄えた勝坂式土器様式の土偶は、大胆な造形と、様々な姿形のものが多い。しかしそのほとんどは、ばらばらに、故意に壊されたような状態の破片で出土する。これに対して本件は完形であり、その出土状態には、通常の土偶とは異なる、“埋納”の意図が感じられる。 人体の各部を極端に誇張して表現していながら、美しい曲線でまとめられた安定感溢れる姿形。光沢がでるほど磨きあげられ、均整のとれた伸びやかな表現・質量感。洗練された造形美。本土偶は、縄文時代の精神文化を語る傑出した遺品として、国宝にふさわしい価値をもつものである。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ 2018年8月

東京国立博物館「縄文展」

国宝データ 考古・歴史資料カテゴリの最新記事