国宝『太刀 銘 豊後国行平作』古今伝授の太刀
平安末期~鎌倉時代に活躍した、豊後国(現在の大分県)の刀工「行平」による太刀で、行平の刀剣としては唯一の国宝。 行平は、後鳥羽院の番鍛冶もつとめた名人。 この太刀は、表の樋に梵字と倶利伽羅龍が、裏の樋には梵字と神像(不動像とも)が彫られており、刀身に彫物をする最初期の作例である。
「古今伝授の太刀」と呼ばれる有名な太刀で、古今和歌集の伝授にまつわる逸話がある。 古今和歌集の奥義を相伝していた公家の三条西家は、子が小さいために弟子の細川幽斎へ伝授し、一時は幽斎だけが奥義を知る者だった。 戦国末期に幽斎の城が石田三成勢に囲まれ、幽斎が討たれると伝授が失われるため、朝廷からの勅使が入り、八条宮や烏丸光広ら数名が伝授を受けた。 これは、その時に幽斎から烏丸光広に贈られたもので、昭和に入ってから細川家が買い戻している。
この国宝を観るには
所蔵する永青文庫でも公開される機会は少ない。 特別展などへ出展される場合もある。
公開履歴
2023/1/14~5/7 永青文庫「揃い踏み 細川の名刀たち」
2021/4/3~6/27 熊本県立美術館「感謝をこめて魅せます!」
2019/10/8~11/4 福岡市博物館「侍 もののふの美の系譜」
2017/10/31~11/29 京都国立博物館「国宝展」
2014/10/4~12/23 永青文庫「国宝の刀― 伝えられた武士の心」
2012/1/1~2/5 九州国立博物館「細川家の至宝」
2010/4/20~6/6 東京国立博物館「細川家の至宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-293
出典:国指出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00007-00
【指定名称】太刀〈銘豊後国行平作/〉
【ふりがな】たち〈めいぶんごのくにゆきひらさく〉
【員数】1口
【時代・年】鎌倉時代
【作者】豊後国行平
【寸法・重量】長79.9cm、反2.9cm、元幅2.6cm、先幅1.6cm、鋒長3cm
【品質・形状】鎬造、庵棟、小切先詰まり、腰反高く踏張りあり、太刀姿優れて美しく、地がねはねっとりとして潤がある。
【画賛・銘等】「豊後国行平作」の銘がある。
【附指定】革包太刀拵
【所有者】永青文庫
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】現存する行平の作の中でも、その作風を完全に発揮した優品である。細川幽斎より烏丸光廣に古今伝授とともに贈られたものと伝えられ、付属する革包太刀拵も同じ頃の作と考えられる。