目無経とは
国宝『白描絵料紙理趣経(目無経)』
後白河法皇の供養のために書かれた写経で、元は絵巻を作ろうとしていたが途中で法皇が亡くなり、その料紙を使って経典が作られたのではないかとみられている。 経典だが「絵画」として国宝に指定されており、京都国立博物館蔵の国宝『金光明経』や、東京国立博物館蔵の大方広仏華厳経巻第九断簡などと共通の料紙だとみられる。
「目無経」と呼ばれるのは、経典に使われた料紙が白描(墨の枠線だけで描かれたもの)でやまと絵が描かれており、その人物の顔が輪郭のみで目鼻が描かれていないため。 描かれている白描は、源氏物語絵巻のような公家風俗の男女が描かれている。 写経をした人物についてははっきりしないが、近親者やゆかりの人物が書いたものだと考えられる。 経の合間に書かれた凡字は、醍醐寺の成賢によるものだという。
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五島美術館Webサイト「コレクション」→「大東急記念文庫」→「仏書」で画像が確認できます
この国宝を観るには
所蔵する五島美術館で公開される場合があるが、公開スケジュールは決まっていない。
公開履歴
2024/9/10~9/23 五島美術館「一生に一度は観たい古写経」
2018/10/20~12/9 五島美術館「東西数寄者の審美眼」
文化財指定データ
台帳・管理ID 201-121
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
指定番号 00115-00
種別 絵画
指定名称 白描絵料紙理趣経
員数 1巻
ト書 建久四年八月深賢奉受の奥書がある
国・時代 日本・鎌倉時代(1193年)
所在地 五島美術館
国宝指定日 1955.06.22
鑑賞ログ
2018年12月
五島美術館「東西数寄者の審美眼」
金泥・銀泥はかなり色あせてしまっているが、ゆったりとしたやまと絵で姫君の姿などが描かれていました。 この展示では、五島美術館のルーツ五島慶太と、逸翁美術館のルーツ小林一三のコレクションを対決形式(?)で企画されていたので、逸翁美術館からは同じ巻物が元になってセットで作られたとみられる「白描絵料紙金光明経」の断簡が出されていました。 元はいつであったものがこういった機会に逢えるのは非常に感慨深いものがあります。