華鬘(けまん)とは
華鬘(けまん)とは、仏堂の装飾のために長押などにかけられた荘厳具で、ルーツはインドで生花を飾ったことに始まり、日本では金銅や牛皮を加工したり木製でも作られた。 円形やうちわ型のものが多く、空想の植物「宝相華」や、人頭を持つ鳥の「迦陵頻伽」に、唐草模様やパルメット模様をあしらい、大きいリボンのような総角(あげまき)結びが飾られる。
国宝『牛皮華鬘』
空海が開いた京都の東寺(教王護国寺)に伝来したもので、平安時代頃に作られたと考えられる13枚が残る。 大きさが30cm代~50cm代まで様々で、装飾の特徴なども異なることから、元は別に作られたものが集められたと考えられる。 牛皮(牛革)を透かし彫りにして漆を塗り、彩色や截金で装飾されている。 それぞれに異なる宝相華や唐草模様で、迦陵頻伽のあるものと無いものがある。 この牛皮華鬘13枚の他に、一括で国宝に指定されている中尊寺『金色堂堂内具』に、金銅製の華鬘6枚が含まれる。
この国宝を観るには
奈良国立博物館での通常展や特別展で、1~2年に1度は公開されている。 他館へ貸し出されることもある。
公開履歴
2024/7/6~8/25 石川県立美術館「まるごと奈良博」
2022/5/10〜5/29 松濤美術館「SHIBUYAで仏教美術」
2021/7/17~9/12 奈良国立博物館「奈良博三昧」
2019/8/20~9/23 奈良国立博物館 珠玉の仏教美術(通常展)
2019/2/19~3/14 奈良国立博物館 珠玉の仏教美術(通常展)
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-517
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00221-00
【種別】工芸品
【指定名称】牛皮華鬘
【ふりがな】ごひけまん
【員数】13枚
【国】日本
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】縦33.3~51.5cm、横39.1~59.7cm
【品質・形状】八枚はそれぞれ牛皮一枚に、左右対称の迦陵頻伽と宝相華唐草を主文に、中央に総角を配して、団扇形内に切透かす。
【附指定】残闕 一括
【所在地】奈良国立博物館
【重文指定日】1902.04.17
【国宝指定日】1958.02.08
【説明】13枚は、製作様式が多種で、それぞれの図様、配色、手法等は細部を異にして表現している。迦陵頻伽の描線、量感に富む宝相華文、重厚な賦彩、大らかな手法の金銅金具に施される截金など、いずれも充実した構成で見事である。また、まとまって伝えられていることは非常に重要である。