国宝『太刀 銘 康次』
備中青江派の刀工「康次」による太刀で、鎌倉時代に作られ「古青江」に分類される。 青江派の中では長い方で、身幅も広く豪壮な作りをしている。 刀身には、表に不動明王・倶利迦羅竜、裏に大日如来・素剣の彫刻があるが、これは後世に彫り足されたもの。
室町15代将軍の足利義昭の所有だったが、戦乱期に味方を得ようと薩摩の島津義久に贈り、それ以降は島津家に伝わっていた。 附指定の「糸巻太刀拵」は、江戸時代に島津家によって誂えられたもの。
この国宝を観るには
岐阜県高山市「光ミュージアム」の所蔵品だが、同館で公開されることは少ないようで、特別展などに出展される場合には観ておきたい。
公開履歴
2020/9/18~11/15 岐阜県博物館「光秀が駆けぬけた戦国の岐阜」
2019/7/13~9/1 九州国立博物館「室町将軍展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-459
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00165-00
【指定名称】太刀〈銘康次/〉
【ふりがな】たち〈めいやすつぐ〉
【員数】1口
【時代・年】鎌倉時代
【寸法・重量】身長85.7cm、反り3.5cm、元幅3.6cm、先幅2.5cm、鋒長3.8cm、茎長25.0cm
【品質・形状】鎬造、庵棟、身幅広く中鋒、腰反高く踏張りあり。鍛えは小板目杢交じり、所々に墨肌地斑交じり、地沸つき、地斑映り立つ。刃文表は乱に丁子交じり、足葉よく入り、裏小乱足葉頻りに入り、中程上ほとんど二重刃となり、表裏とも小沸よくつき、所々に金筋かかる。帽子乱込み焼詰め、裏は二重のこころあり。彫物表二筋樋角止、腰に梵字、下に角止の剣形の櫃の中に梵字と倶利伽羅を、裏に棒樋に添樋、角止、棒樋の腰に素剣を浮彫にし、腰平らに毛彫の立不動を添えているが、表裏の添彫は後刻であろう。茎生ぶ、先栗尻、反りつき、鑢目大筋違、目釘孔一、佩裏目釘孔の下に太鏨大振りの二字銘。
【作者】康次
【画賛・銘等】「康次」
【附指定】糸巻太刀拵
【国宝指定日】1955.02.0
【説明】青江派の中でも最も長寸で、身幅が広く、豪壮な姿の太刀である。刃文も大小模様を入り交ぜた華やかなものである。本太刀は足利義昭が島津義久に送ったもので、長く薩摩の島津家に伝わった。
鑑賞ログ
2019年8月
九州国立博物館「室町将軍展」
どっしりゴツめの太刀です。 茎近くには不動明王なんかが彫ってあり、ちょっとデコトラのような派手さでした。