国分寺と金字金光明最勝王経
仏教によって国をまとめようとした聖武天皇は、奈良の大仏の造営の他に、各国に国分寺と国分尼寺を作った。 その国分寺の塔に、四天王他による国家鎮護を説く「金光明最勝王経」10巻を納めることとした。 これは、写経所でも特に能書の写経生によって写され、紫に染めた紙が使われたことが記録に残る。
国宝『紫紙金字金光明最勝王経』
高野山の塔頭「龍光院(竜光院)」は、高野山を開いた空海が住んだとされ、数多くの文化財を擁している。 龍光院所蔵の金光明最勝王経は、どこのものだか不明だが、聖武天皇の命で国分寺に安置された金字経で、10巻が揃っている。 同じく国宝の奈良国立博物館所蔵の『金光明最勝王経』も10巻揃い、備後国(広島県)の国分寺のものだという。
この経典は都の写経所で金字で書写され、その字をイノシシ等の牙でこすって光沢を出している。 経典を巻いて保存する「経帙(きょうちつ)」1枚が附指定として国宝に指定されている。
この国宝を観るには
高野山にある寺院の文化財の多くは、高野山霊宝館に収蔵されており、3ヶ月程度で展示替えがある。 公開はそれほど多くない。
公開履歴
2021/6/8~8/1 高野山 霊宝館「高野山の名宝」
2020/10/3~12/6 高野山 霊宝館「高野山の名宝」
2020/1/13~4/12 高野山 霊宝館「密教の美術」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-642
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00108-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】紫紙金字金光明最勝王経
【ふりがな】ししきんじこんこうみょうさいしょうおうきょう
【員数】10巻
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【附指定】経帙1枚
【国宝指定日】1952.03.29