俵屋宗達のこと
俵屋宗達は、扇や屏風の絵付けを生業とした絵屋「俵屋」を率いて、自らも筆を取り晩年には法橋位を授けられる。 当時一流の文化人であった後水尾天皇・本阿弥光悦・烏丸光広らと交流があり、華やかな寛永文化の一翼を担った。 合作の多い本阿弥光悦と宗達は琳派の始祖とされ、後年この2名に私淑することで琳派が発展していく。
この屏風の他に『風神雷神図屏風』『蓮池水禽図』の合計3件が国宝に指定されている。 俵屋工房の作品としては、宗達名がされたものの他に「伊年」と記されたものもあり、これは俵屋工房による宗達プロデュースのような形だと考えられる。
国宝『源氏物語 関屋・澪標図屏風』宗達筆
背景に金箔を貼り、源氏物語の第14帖「関屋」段と、第16帖「澪標」段を、それぞれ1隻ずつに描いている。 元は醍醐寺の所有だったが、三菱財閥の岩﨑彌之助が寄進をした返礼として、岩崎家に贈られた。 現在は、岩崎家のコレクションが元になった「静嘉堂文庫」の所有。
右隻「関屋」は、須磨明石から都に戻った源氏が、石山詣に向かう途中の逢坂の関で、かつて短い恋人だった空蝉に行き合わせる様子を描く。 左隻「澪標」は、源氏が紫の上を連れて華やかに住吉詣をするところと、偶然来あわせてしまったが遠慮して引き返す明石の上を描いている。
この国宝を観るには
2015年に長い修理期間を終えて、所蔵館の静嘉堂文庫美術館で10年ぶりに公開された。 静嘉堂文庫美術館で時々公開される。
公開履歴
2024/11/16〜2025/1/13 静嘉堂文庫美術館「平安文学、いとをかし」
2023/5/20~5/28 静嘉堂文庫美術館(世田谷区)「河野館長傘寿の祝 饒舌館長ベスト展」
2022/10/1〜11/6 静嘉堂文庫美術館「響きあう名宝」
2021/6/30〜9/12 三菱一号館美術館「三菱の至宝」
2021/4/10~5/9 4/24 静嘉堂文庫美術館「旅立ちの美術」※コロナで期間短縮
2020/7/8~9/22 三菱一号館美術館「三菱の至宝」 ※2021年に延期
2015/10/31~12/23 静嘉堂文庫美術館「金銀の系譜」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-9
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00009-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本金地著色源氏物語関屋及澪標図〈宗達筆/六曲屏風〉
【員数】1双
【時代・年】江戸時代
【作者】宗達
【所有者】静嘉堂文庫
【国宝指定日】1951.06.09