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情報|筆の里工房「陽明文庫展-近衛家1000年の栄華」2020/10/3~11/15[広島]

情報-博物館・美術館

近衛家と陽明文庫

近衛家は、平安時代に栄華を誇った藤原北家の末裔で、平安末期~鎌倉時代にいくつかの家に分かれたうちの1つです。 摂政関白に登れる最高位の家柄「摂関家」の中でも、近衛家は筆頭とされていて、明治に入ると公爵家となりました。

陽明文庫は、昭和初期に総理大臣を務めた近衛文麿が設立した近衛家の文庫で、古いものは平安中期までさかのぼる古文書類や宸翰、和歌集や物語など書跡・典籍や、美術品などを保管しています。 長く都のあった京都に住んでいた近衛家ですが、戦乱の時などは貴重な文物を疎開させたのだそうです。 陽明文庫が京都に設立されて、東京に移動していた品々が京都に戻されたおかげで、第二次大戦で焼けずに済んだのかもしれません。

近衞家1000年の栄華

陽明文庫には、あの藤原道長直筆の日記と、その古写本が伝わっています。 この「御堂関白記」は、ユネスコが世界的に重要な記録を認定する「世界の記憶」(通称:世界記憶遺産)にも登録されています。 この日記が書かれたのは約1,000年も前のことで、それがずっと子孫に伝わってるってすごい事ですよね。 この展覧会では、道長が栄華を極めた時代から近代まで、様々な時代の近衛家に伝わる品々が展示されます。

会場は、あまり耳慣れない「筆の里工房」で、広島市の東にある筆の名産地「熊野町」町立の筆を紹介する展示・体験施設のようです。 なんと、こちらでは10年前にも陽明文庫展が開かれていて、その時は陽明文庫の所蔵する8件の国宝全てが公開されたようです。 今回はその時より少ないですが、3件6点の国宝と、15点の重要文化財が出展されます。 その中には、東京国立博物館の「桃山展」で公開される国宝『青磁鳳凰耳花生(銘万声)』と一緒に名付けられてという重要文化財「青磁鳳凰耳花生(銘千声)」なんかも観られます。

この展覧会で観られる国宝

御堂関白記[陽明文庫/京都]

平安時代に陰陽師が作っていた「具注暦(ぐちゅうれき)」という、吉凶などが記された暦に書き込まれた日記で、今のメモ付きカレンダーやシステム手帳に書き込むような感じです。 前期(10/3~10/25)は、長保2年(1000年)娘の彰子が一条天皇の中宮に立后した時の日記を。 後期(10/27~11/15)は、寛弘8年(1011年)なので、一条天皇の崩御あたりでしょうか。 両方とも自筆の巻のようです。

熊野懐紙(後鳥羽天皇・藤原家隆・寂蓮)

後鳥羽天皇は、譲位してから熊野詣を30回近く行っていて、道中の各所で歌会を開いています。 その時に、詠んだ歌を書きとめたのが「熊野懐紙」で、陽明文庫には「後鳥羽天皇」「藤原家隆」「寂蓮」の3葉が伝わっています。 今回は、前期(10/3~10/25)に後鳥羽天皇、後期(10/27~11/15)に寂蓮の懐紙が展示されます。

倭漢抄 下巻[陽明文庫/京都]

前期(10/3~10/25)のみ
倭漢抄は、倭漢朗詠抄や和漢朗詠集ともいわれ、倭(=和歌)と漢(=漢詩)を歌うように読む「朗詠」するための歌集です。 道長と同時代の公家で、歌人としても高名で百人一首にも選ばれた「藤原公任(ふじわらのきんとう)」が編纂したといわれます。 色とりどりの料紙を継いだ華やかな巻物に、三跡の1人「藤原行成」が書いたと伝わります。

大手鑑

後期(10/27~11/15)のみ
「手鑑」は、古今の名筆家の書を数行~1葉ずつ貼り交ぜたコレクションブックで、大手鑑は国宝に指定された4件の国宝のうちの1つです。 江戸時代の近衛家の当主で、大変な文化人でもあった「近衛家熙(このえいえひろ)」が制作したものです。 上下2帖あるうち、後期に下帖が公開されます。

展覧会 概要

日程:2020/10/3~11/15
休日:毎月曜日(祝日は開館し、翌平日が休館)
時間:10:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥600、小中高生¥250

筆の里工房 公式サイト

アクセス

広島バスセンターや広島駅から「熊野萩原」行き広電バス乗車で約45分
最寄バス停「出来庭」から徒歩20分
その手前のバスセンター「熊野営業所」からタクシーで約7分(2km弱)

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