波濤を越えて-鑑真和上と美濃の僧・栄叡 展
岐阜城のある金華山の麓、岐阜公園に隣接する「岐阜市歴史博物館」は、日本の歴史や古美術の展覧会が多く企画されます。 この秋は「波濤を越えて-鑑真和上と美濃の僧・栄叡」と題して、日本に戒律を伝えた中国の僧「鑑真(がんじん)」と、鑑真を日本に招くために唐に渡った美濃出身の僧「栄叡(ようえい)」をテーマにした特別展が開かれます。 実はこの展覧会はノーチェックだったんですが、なかなか豪華な内容のようで、紅葉狩りのついでに行ってみたいなと思っています。
これを書いている時点ではまだリストが発表されておらず、チラシやWEBサイトの情報だけなのですが、年に2回しか公開されない『金銅獅子唐草文鉢』の他、東京と奈良の国立博物館や唐招提寺からも国宝や重要文化財が多数出展されるようです。 特に、鑑真が朝廷から土地を賜って戒律の道場として開き、亡くなるまでを過ごした「唐招提寺」からは、鑑真に関係する作品が来るようで、東海地方でこれだけまとまった展覧会は貴重ではないでしょうか。
この展覧会で観られる国宝
金銅獅子唐草文鉢[護国之寺/岐阜]
この展覧会で公開される国宝の中で、レア度では圧倒の1位ではないでしょうか。 地元岐阜市にある護国之寺(ごこくしじ)に伝わる金属製の鉢で、東大寺大仏の落慶法要で使われたといわれます。 毎年1/18と8/18に同寺で公開されるのですが、展覧会への出展も少ないので、これだけの長期間で公開されるのはうれしいチャンスです。
伝衆宝王菩薩立像[唐招提寺/奈良]
今回のチラシ表面に大きく登場している菩薩像で、鼻と両ひじの先が欠損している等身大の木造仏です。 唐招提寺に伝わる奈良時代の仏像6躯が、2019年にまとめて国宝に指定されたうちの1躯で、鑑真が中国から連れてきた工人が関わっていると考えられるものだそうです。
紫紙金字金光明最勝王経[奈良国立博物館]
紫色に染めた紙に金泥で、国を守護することが書かれた「光明最勝王経」を書写したもので、聖武天皇は全国に国分寺を作ると、この紫紙金字金光明最勝王経を納めたのだそうです。 これは備後国の国分寺経で、書いた後に猪の牙で磨いたという金字は、今でも驚くほどピカピカと光り輝いています。
興福寺金堂鎮壇具[東京国立博物館]
東京近郊で仏教美術好きの方にはお馴染みかもしれません、東京国立博物館に常時展示されているもので、興福寺の中金堂を作る時に地下に埋納された鎮壇具です。 鎮壇具の内容は時代によって変化しますが、奈良時代には宝玉や金属製品などが多かったようです。
展覧会 概要
期間:2021/10/8~11/23
時間:9:00~17:00(入館は30分前まで)
休館:月曜日(11/1と11/22は開館し、11/4は休館)
料金:高校生以上¥1,300、小中生¥650
岐阜市歴史博物館 公式サイト