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情報|京都国立博物館「畠山記念館の名品」2021/10/9~12/5

情報-博物館・美術館

畠山記念館と畠山即翁のこと

荏原製作所の創業者である「畠山一清」は、武家の名門畠山一族の末裔で、「即翁」と号して茶の湯や能を嗜み、古美術に精通する一流の文化人でした。 現在、畠山記念館が建つ白金の地に邸宅を構え、晩年には自身が蒐集した美術品を広く一般に公開するため、敷地内に美術館を設立しています。 畠山記念館は、即翁が昭和46年(1971年)に91歳で亡くなった後も、遺志を継いで茶の湯をテーマとした展覧会が開かれていました。

畠山記念館 入口

畠山記念館は高輪の閑静な住宅地にあり、武家風の門をくぐると左右に自然を楽しみながら、石畳を歩いて美術館に向かいます。 このちょっとした道のりが、季節を体感しながら気持ちを切り替えるのに、非常に効果的でした。

美術館は鉄筋コンクリートの近代的な建物ですが、建てられてからは日が経っていて、それもいい味わいになっていました。 他の美術館との大きな違いは、玄関でスリッパに履き替えることと、展示室に畳敷きの一角があったことでしょうか。 この畳敷きは、全面が展示ケースになった壁に沿って、ちょうど腰掛けられる高さに作られていて、畳に正座で掛軸の鑑賞ができるスペースでした。 しかもお抹茶もこのスペースで頂けたので、禅機図断簡を横目にお抹茶を楽しむという、足利将軍のような贅沢が出来たのです。 改装後もこのスペースが残っているといいなと切望しております。

畠山記念館 入口から美術館まで

畠山記念館の名品 展

畠山記念館は、2019年3月から施設の改装工事のために長期休館中です。 この休館を利用して、京都国立博物館で大規模な引越し展覧会が開かれます。 国宝6件をはじめとする畠山記念館の代表的な名品が、前後期の展示替えをしながら多数公開され、一部他館の収蔵品もあるようです。 「蒐集の始まりと金沢」「能楽」「名品との出会い」「琳派」「與衆愛玩の想い」「畠山即翁と茶の湯」 のテーマに分かれていますが、やはり茶の湯に関連するものが大多数のようです。

畠山記念館の展示では、当時の実業家茶人達との交流をうかがわせる書状や茶会日記や、茶道具にまつわる逸話などが面白かったです。 乾山を茶事に使ったけど心配で、向付で出してすぐ下げるように女将に言っていたなど、ちょっとクスっとする逸話があったので、今回も楽しいキャプションがないか、期待しています。 茶会日記が公開されるということは、その時の席の道具を再現するような展示もあるでしょうか? しっかり数えてはいませんが、前後期で半数以上が展示替えになるようなので、どちらも行ってみたい内容です。

この展覧会で観られる国宝

前期(10/9~11/7)

蝶牡丹蒔絵螺鈿手箱

鎌倉時代頃に作られた手箱で、光る貝をはめ込む螺鈿と、銀製の薄い板をはめ込む銀平文の技法で、蝶と牡丹唐草が描かれています。 松江藩主で大茶人だった松平不昧公の旧蔵品です。

離洛帖 藤原佐理筆

平安時代中期の能書家で、三跡の1人に数えられる「藤原佐理」の書いた書状です。 認知に向かう途中で書いたもので、スピーディーな草書は躍動感にあふれています。

林檎花図 伝趙昌筆

中国・北宋の宮廷画家「趙昌」の作だと伝わりますが、実際に描かれたのは南宋時代なのだそうです。 うちわ型の絹地に、白いリンゴの花や蕾が描かれた可憐な作品です。

禅機図断簡「智常李渤図」 因陀羅筆

中国の禅僧「因陀羅」の作で、同じく中国の禅僧「楚石梵琦」が賛を書いています。 元は1巻だったと思われる5点の掛軸があり、東京の5つの美術館が所蔵していて、その全てが国宝に指定されています。

後期(11/9~12/5)

煙寺晩鐘図 伝牧谿筆

中国の禅僧「牧谿」の作と伝わる水墨画で、元は長い1巻だったものを切断して掛軸にした一部です。 足利義満が、自身の所有を示すために押した印「道有」がありますので、ぜひ探してみて下さい。

大慧宗杲墨蹟

中国の禅僧「大慧宗杲」の尺牘(漢文の手紙)です。 道友円兄という僧に書き送ったもので、身近な出来事や会った人のことが行書で書かれています。

展覧会 概要

期間:2021/10/9~12/5
時間:9:00~17:30(入館は30分前まで)
休館:月曜日
料金:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700

京都国立博物館 公式サイト
畠山記念館の名品展 公式サイト

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