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情報|出光美術館「物、ものを呼ぶ」2024/9/7~10/20[東京]

情報-博物館・美術館

物、ものを呼ぶ 展

今年いっぱいでビルの建て替えのために一時休館する出光美術館は、1年にわたって自館の作品を紹介する展覧会が企画されています。 今回は書画ということで、何年か前に出光のコレクションに加わったプライス・コレクションや、2件の国宝も公開されます。

第1章の7件こそ文化財に指定されていませんが、第2~4章の30件の内、2件の国宝以外は全て重要文化財という驚異のラインナップです。 創設者の出光佐三氏は仙厓さんと文人画の蒐集からスタートしたそうで、第2章の文人画コーナーは実に見事でした。 第3章は書が多くて、国宝の断簡などもたくさんありますが、個人的には俵屋宗達の画・烏丸光広の書による西行物語にくぎ付けでした。 第4章の江戸名所図には現代の東京を重ねて盛り上がる人でにぎわっていました。

出光美術館名物(?!)皇居の緑を見ながらサービス給茶機のお茶を頂くのも、とても心地よい時間です。

出光美術館「物、ものを呼ぶ」チラシより

この展覧会で観られる国宝

国宝『伴大納言絵詞

平安時代末に作られた絵巻物で、300年ほど前の平安時代初期に起きた応天門の変と、変で失脚した伴大納言(伴善男)について描かれています。 今回は、燃える応天門とそれに驚く人々が見ものの上巻が公開されます。 平安時代の俗画は引き目鉤鼻という個性を無くした表現なのですが、平安末~鎌倉になると人物の個性を表現した似せ絵が流行したり、鳥獣戯画のような滑稽で漫画的な表現が出てきます。 この絵巻も群衆の1人1人が表情豊かに描かれていて見飽きません。

国宝『手鑑 見努世友(見ぬ世の友)

手鑑(てかがみ)は、写経や和歌集など古の名筆の書を数行ずつ貼ったスクラップブックで、この『見努世友』は国宝に指定された四大手鑑の1つです。 会期の途中で展示替えがあるようですが、展覧会がはじまってすぐは先頭から展示されていて、堂々たる大聖武で始まり、天皇の御位にあった方々の手跡が並んでいました。 

元は国宝の一部でした

扇面法華経冊子断簡 重要文化財

こちらは法華経なんですが、金銀箔を多用した扇形の紙に平安時代の貴人を描いて、その上に写経がしてあります。 扇形なので下に行くほど字が小さくなっていたり、髪など黒い部分の上には金泥で写経されていたり、繊細で華やかで見飽きません。 大阪の四天王寺にある5冊の『扇面法華経冊子』と、東京国立博物館にある『扇面法華経冊子 巻第八』が国宝に指定されています。

高野切 第一種 重要文化財

全20巻の古今和歌集を3人の能書家が分担して書写した和歌集で、高野山に伝わった時代があったので「高野切」と呼ばれてる仮名書道のお手本にもされる名筆です。 こちらの高野切は、3人の手跡の中でも特に評価の高い第一種と区分されるもので、伝承筆者は紀貫之ですが、実際はもう少し後の時代に書かれたと考えられています。 同じ第一種とされるものでは、高知県(高知城歴史博物館)が所蔵する『高野切』巻第20が国宝に指定されています。

石山切 伊勢集 重要文化財

平安時代の末頃に作られた装飾和歌集で、特に和紙を大胆にちぎって貼り合わせる「継紙」が見事です。 元は三十六歌仙を1人1~2冊ずつ冊子にしていて、戦国時代の終わりごろに西本願寺に下賜された頃には全て揃っていたようですが、昭和に入ってから資金確保のために「伊勢集」と「貫之集下」が断簡になって各所に譲られました。 それでも西本願寺には37帖が残っていて『三十六人家集』として国宝に指定されています。

展覧会 概要

日程:2024/9/7~10/20
時間:10:00~17:00(入館は30分前まで)
夜間:毎週金曜日は19時まで開館(入館は30分前まで)
休館:毎月曜日(祝日は開館して翌火曜が休館)
料金:一般¥1,200、大高生¥800、中学生以下無料

出光美術館 公式サイト

出光美術館「物、ものを呼ぶ」記念撮影パネル
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