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情報|杏雨書屋「杏雨書屋の善本漢籍」2023/10/28~12/1[大阪]

情報-博物館・美術館

杏雨書屋のこと

杏雨書屋(きょううしょおく)は、製薬会社の武田薬品工業が寄付した基金で設立された武田科学振興財団によって運営されている貴重図書を集めた施設で、特別展覧会や講演会を企画されています。 このちょっと言いにくい名前の由来は、古代中国の三国時代(紀元2~3世紀)に董奉という医者がいて、治療代の代わりに治した患者に杏の木を植えさせたところ、数年で杏の林ができたという伝説から名医の事を杏林と呼んだのだそうで、その杏林を潤す雨のような文庫なんだそうです。

江戸時代の薬種商から続く武田家の5代目当主武田長兵衛氏は、明治~大正時代に近代的な製薬会社へ発展する基礎を作った人物で、関東大震災で貴重図書が失われたのを見て、資材を投じて医学や薬学に関する書籍を蒐集したのだそうです。 平日は原則として毎日開いている常設展の他に、春秋には特別展が開かれ貴重な書籍が公開されます。

杏雨書屋の善本漢籍 展

杏雨書屋には常設の展示室がありますが、国宝や重要文化財に指定された貴重な書物は、複製品の展示になります。 この数年はコロナで特別展が開かれなかったこともあり、杏雨書屋の国宝はほとんど公開されませんでしたが、今回はチラシに「杏雨書屋の国宝・重要文化財」と大々的に書いてある通り、国宝3点、重要文化財4点が公開されます。

今回の展覧会のタイトルにある「善本漢籍」は、漢文で書かれた優良な本のことで、続くサブタイトルは「恭仁山荘本を中心に」とあります。 この恭仁山荘というのは東洋史を専門とした内藤湖南が木津川市に建て晩年を過ごした住まいで、その蔵書は恭仁山荘本と呼ばれるそうで、現在では97部の恭仁山荘本が杏雨書屋の所蔵になっているのだそうです。 3件の国宝全てが恭仁山荘本なんですね。

こんな充実した展覧会が入場無料なんですから、平日だけの開館ですが(数日だけ休日開館あり)有休を取ってでも行く価値ありです。

杏雨書屋「杏雨書屋の善本漢籍」チラシより

この展覧会で観られる国宝

説文木部 残巻

説文(せつもん)は中国最古の漢字辞典で、後漢時代の2世紀に編纂されたものです。 その後一般的になったものは10世紀ごろに再編されたもので、こちらはその編纂前の版を唐時代に書写したという貴重なものです。 木部という名前から分かるように、木偏など木に関する漢字を集めた部分で、上部には「懸針体」というかわいいフォントで書かれています。 今回の国宝3件のうちで最も古いものです。

宋版毛詩正義(金沢文庫本)

他2点はどちらも宋時代の中国で印刷されたもので、こちらは名称の最初に「宋版」と付いています。 日本でも多く学ばれた儒教の経典「四書五経」の中の詩経を、毛という人物が伝えたので「毛詩」といい、唐時代に太宗皇帝の命で作られた毛詩についての注釈書が毛詩正義です。 横浜市にある金沢流北条氏の文庫「金沢文庫」に伝わったものです。

宋刊本史記集解

こちらも宋時代の印刷で、名称には「宋刊本」と付いています。 史記集解(しきしっかい)は、中国の歴史書「史記」についての注釈書で、史記の三大注釈書の中で最も古いのがこの史記集解です。 宋時代は急速に木版印刷の技術が発達した時代で、千年も前のものと思えないクオリティの出版物です。

杏雨書屋「杏雨書屋の善本漢籍」チラシより

展覧会 概要

※休日開館の予定だった11/23は、開館が中止になったようです

期間:2023/10/28~12/1
休館:土日祝(10/28、10/29、11/4、11/23は開館)
時間:10:00~16:00
料金:無料

杏雨書屋 公式サイト

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