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特集|令和4年(2022年)新指定国宝

特集・まとめ・資料

2023/6/23に、熊本県上益城郡山都町の「通潤橋(つうじゅんきょう)」が国宝に指定されることが発表されました。

令和4年(2022年)新指定国宝

コロナ禍で文化庁のスケジュールも予定変更を強いられたか、国宝指定の発表が予想外の時期に突然やってきます。 先月10月12日には、建造物の国宝・重要文化財について文化審議会の答申があり、富山県高岡市にある勝興寺の『本堂』『大広間・式台』が国宝に指定されることが発表されました。 そして、11月18日には美術工芸品の国宝・重要文化財についての発表があり、3件の書跡典籍と、1件の考古資料が国宝に指定されることになりました。

書跡典籍の3件は全て宮内庁の三の丸尚蔵館が所蔵するもので、これは皇室に伝わってきた宝物「御物(ぎょぶつ)」です。 御物にも、宮内庁が管轄するものと、皇族が所有するものがあるようですが、2020年までは宮内庁管轄の文化財は、文化庁による文化財指定は受けていませんでした。 2021年に三の丸尚蔵館所蔵の4件の絵画と1件の書跡典籍が国宝に指定され、それに続いて今回の3件が加わり、三の丸尚蔵館は4件の国宝絵画と4件の国宝書跡典籍を所蔵することになります。 三の丸尚蔵館にはまだまだ名品がありますので、この調子だとあと数年は三の丸尚蔵館からの指定が続くのでしょうか。

なお、2022/5/20には、国宝の「附(つけたり)」指定の追加が発表されています。 詳しくは以下リンクをご覧ください。

新しく指定される国宝

勝興寺「本堂」「大広間・式台」[富山]

富山県の高岡市は、律令制下で越中国の国府が置かれ、勝興寺(しょうこうじ)は国府の跡地に建っているそうです。 市の中心地には、仏殿・法堂・三門がそろって国宝に指定されている瑞龍寺もあります。

境内にある建造物の多くが重要文化財に指定されていましたが、今回はその中から『本堂』『大広間・式台』の2棟が国宝に昇格します。 浄土真宗の寺院らしい大型の本堂と対面所で、本山に準じる格と規模を誇ります。

国宝|勝興寺 本堂[富山]

喪乱帖[三の丸尚蔵館]

4世紀の中国・東晋時代の政治家で、特に書の名声が高く「書聖」として古くから別格の扱いをされる「王義之(おうぎし)」ですが、残念ながら真筆は現存しません。 こちらは8世紀の中国・唐時代に作られた摸本で、特に精巧に作られているので評価が高いものです。 摸本といってもただ筆跡を真似て書いているわけではなく、原本の上に薄い紙を置き、極細の筆で文字の輪郭を写して中を塗りつぶすという手間のかかる方法がとられています。 平安遷都を行った桓武天皇の時代には、すでに日本に伝わっていたようです。

更級日記(藤原定家筆)[三の丸尚蔵館]

更級日記は、菅原道真の子孫で上総の受領(地方官)の任に就いた菅原孝標の娘が書いた日記で、11世紀前半の40年にも及ぶものです。 旅行記や源氏物語などの物語に対する憧憬が綴られていて、こちらは日記が書かれて百数十年後に藤原定家によって書写された、現存最古の写本です。 「波に月蒔絵冊子箱」が附として指定されています。

国宝|更級日記[三の丸尚蔵館]

万葉集 巻第二・第四残巻(金沢本)(藤原定信筆)[三の丸尚蔵館]

日本最古の歌集「万葉集」の古写本で、金沢の前田家に伝わったので「金沢万葉」と呼ばれるもので、雲母刷りの彩牋を使用した平安時代の華やかな古写本です。 明治43年(1910年)に、明治天皇が前田家に行啓した時に、巻第2の大半と巻第4の1部を1帖に仕立てて献上したもので、前田家に残った巻第3と巻第6の残巻を1帖に仕立てたものも『万葉集(金沢万葉)』として1955年に国宝に指定されています。 附として「浦景蒔絵冊子箱・桐冊子箱」が指定されています。

北海道白滝遺跡群出土品[遠軽町/遠軽町埋蔵文化財センター保管]

ガラス質の火山岩で、鋭い刃物を作ることのできた黒曜石は、産地が限られることから非常に珍重されました。 白滝は良質な黒曜石の産地で、今回の出土品は旧石器時代の後期(15,000~30,000年前)のもので、1,965点の石器や関連資料が一括で国宝に指定されます。 こちらは遠軽町(えんがるちょう)の所有で、遠軽町埋蔵文化財センターで常設展示されているようなので、いつでも観に行ける国宝が1つ増えました。


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