南宗画・文人画・南画
南宗画は、中世~近世の中国で成立した山水画の様式で、水墨や淡彩のおだやかな画風を特徴とする。 宮廷画家をはじめとする職業画家の描く力強い水墨画「北宗画」に対し、絵画を職業としない教養人が、趣味や嗜みの1つとして画を楽しむ「文人画」につながる。
江戸時代の日本でも流行し、俳人としても高名な「与謝蕪村(よさぶそん)」や、妻の玉蘭も画家で書の評価も高い「池大雅(いけのたいが)」らによって、独自の発展をする。 文化人たちのサロン的な交流を舞台としたが、職業画家も多く、日本では「文人画」「南画」が非常に近い意味で使われる。
国宝『楼閣山水図』
江戸時代中期の南画家「池大雅(いけのたいが)」の6曲1双屏風で、右隻左隻それぞれに人の集う楼閣と山水の景色を描く。 一橋徳川家に伝来したもので、三井財閥の総帥もつとめた実業家の團琢磨氏の長男「團伊能」氏から、1944年に東京国立博物館に寄贈された。 池大雅の作品は、他に『遍照光院障壁画』と、与謝蕪村との合作『十便十宜図』が国宝に指定されている。
右隻の「岳陽楼」は、湖南省にある洞庭湖のほとりに建つ楼閣で、湖水が長江と合流する景色に船が浮かぶ様子が描かれる。 左隻は「酔翁亭」で、欧陽脩が安徽省琅琊山に建てた庵を、人々が山道を縫って訪ねる様子が描かれる。
この国宝を観るには
2~3年に1度は、東京国立博物館で公開される。 あまり多くないが、他館への貸し出しもある。
公開履歴
2024/2/10~2/25 出光美術館「池大雅」
2022/11/15~12/11 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2022/1/4~1/16 名古屋市博物館「大雅と蕪村―文人画の大成者」
2021/1/26~3/7 東京国立博物館 7室
2018/5/2~5/20 京都国立博物館「池大雅 天衣無縫の旅の画家」
2017/1/17~2/12 東京国立博物館 国宝室
2016/1/2~1/24 東京国立博物館 7室
2014/1/2~1/13 東京国立博物館 7室
2012/7/10~7/22 九州国立博物館「十五人の京絵師」
2012/1/2~2/12 東京国立博物館 7室
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-57
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00052-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本金地著色楼閣山水図〈池野大雅筆/六曲屏風〉
【員数】1双
【時代・年】江戸時代
【作者】池大雅
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1952.11.22