国宝『山水図(水色巒光図)』伝周文筆
禅僧らの間で流行した、下部に水墨画を描き、上部に画題に関する漢詩などの賛を書き入れる「詩画軸(しがじく)」という形式。 詩画軸は、禅問答や送別などで制作され、多いと数十名が賛を書き入れたものもあるが、この山水図は3名の僧による賛が書かれ、向かって左の心田清播による賛から文安2年(1445年)5月の日付が特定できている。 右に書かれた江西龍派による賛が「水色巒光」から始まるので、「水色巒光図(すいしょくらんこうず)」と通称される。
絵の作者は、相国寺に所属して足利将軍家にも仕え、雪舟の画の師といわれる「周文(しゅうぶん)」という画僧だと伝わっている。 周文の真筆は確認されておらず、この作品も伝承筆者にとどまり、同じく伝周文筆とする詩画軸『竹斎読書図』も国宝に指定されている。 画題は「書斎図」と呼ばれる、山中の静かな環境に書斎を書き入れたもので、禅の修行の理想的な環境を表している。
この国宝を観るには
奈良国立博物館の所蔵で、数年に1度程度は展覧会で公開されている。
公開履歴
2025/5/20~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」
2024/7/6~7/28 石川県立美術館「まるごと奈良博」
2021/7/17~8/15 奈良国立博物館「奈良博三昧」
2021/2/10〜2/28 岡山県立美術館「雪舟と玉堂―ふたりの里帰り」
2019/7/13~8/18 九州国立博物館「室町将軍展」
2017/10/31~11/26 京都国立博物館「国宝」
周文の作と伝わるもう1点の国宝『竹斎読書図』
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-86
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00083-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本墨画淡彩山水図〈伝周文筆/〉
【ふりがな】しほんぼくがたんさいさんすいず
【員数】1幅
【国】日本
【時代・年】室町時代
【ト書】文安二年心田清播等三僧の賛がある
【所在地】奈良国立博物館
【国宝指定日】1953.11.14