国宝『十便図』『十宜図』
江戸時代の日本の文人画の大家とされる「池大雅(いけのたいが)」と「与謝蕪村(よさぶそん)」による合作で、十便(10の便利なこと)と、十宜(10のよいこと)を描いたもの。 元は、17世紀の中国清朝の文人「李漁」が詠んだ「十便十二宜詩」で、田舎の別荘を不便だろうと言われた李漁が、10の便利なことと12のよいことを詠んだ詩。
尾張国(現在の愛知県)鳴海宿の素封家「下郷学海」が、作画を依頼したとされ、戦後まで下郷家の所有であった。 作家の川端康成は美術品コレクターとしても有名だが、家の購入資金をこの十便十宜図の購入に充てたという。 川端康成は他に、浦上玉堂筆の国宝『凍雲篩雪図』を所蔵した。
文人画とは
中世の中国で、絵を職業とする宮廷画家に対して、教養人が趣味や嗜みの1つとして絵を描き、それが様式として確立される。 職業画家が絵具を巧みに使ったのに対し、文人画は水墨や水墨淡彩など素朴さを良しとした。 日本では、江戸時代に池大雅と与謝蕪村が独自の発展をさせる。
この国宝を観るには
川端康成の遺品は「公益財団法人川端康成記念会」の所有となっているが、同財団には展示施設は無く、美術館や博物館への出展となる。 毎年1~2回は貸し出され、比較的観る機会は多い。
公開履歴
2024/2/10~3/24 出光美術館「池大雅」
2021/12/4~2022/1/30 名古屋市博物館「大雅と蕪村―文人画の大成者」
2021/3/13~5/9 4/24 府中市美術館「与謝蕪村」十宜図のみ ※コロナで4/24で終了
2019/9/14~11/4 姫路市立美術館「川端康成と美のコレクション」/
2019/4/5~5/26 岐阜市歴史博物館「川端康成と東山魁夷」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-115
【指定番号】00011-01
【種別】絵画
【指定名称】紙本淡彩十便図〈池大雅筆/〉
【員数】1帖
【時代・年】明和8年(1771年)
【作者】池大雅
【ト書】宣風図に明和八年八月の年記がある
【所有者】川端康成記念会
【国宝指定日】1951.06.09
【台帳・管理ID】201-11000
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00011-02
【種別】絵画
【指定名称】紙本淡彩十宜図〈与謝蕪村筆/〉
【ふりがな】
【員数】1帖
【時代・年】明和8年(1771年)
【作者】与謝蕪村
【品質・形状】
【ト書】宣風図に明和八年八月の年記がある
【所有者】川端康成記念会
【国宝指定日】1951.06.09