聚光院のこと
大徳寺の塔頭で、三好義継が父長慶の菩提を弔うために、笑嶺宗訢(しょうれいそうきん)を開山に迎えて永禄9年(1566年)に創建された。 笑嶺宗訢には千利休も参禅しており、千利休とその一族の墓があり、千家の菩提寺になっている。 一般公開はされていないが、ごくまれに特別公開されることがある。
国宝『方丈障壁画』
聚光院の創建時に制作された障壁画で、狩野派の3代目「松栄」と、その息子で4代目の「永徳」によって制作された。 襖36面と壁2面の合計38面が国宝に指定され、仏間の小襖8面は附として国宝指定されている。 金泥や淡彩を使用した水墨画で、若く力強い永徳と、穏やかな松栄の画風の違いも面白い。
花鳥図(かちょうず)襖貼付16面(室中の之間)
南に面した中心の部屋で、方丈の中心的な部屋で一番広い。 左右に幅広の襖4面ずつ、正面に幅細の襖8面があり、松や梅の古木を中心とした風景に、鶴や鴛鴦などが描かれる。
琴棋書画図(きんきしょがず)襖貼付8面(檀那の間)
室中の西隣にある「檀那の間」には、中国の名士や文人にふさわしいとされた、琴・囲碁・書・絵画の4つの趣味を描いている。 永徳の作だが、花鳥図よりも固い表現で描かれる。
瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)襖貼付8面(礼の間)
室中の間の東隣は「礼の間」で、中国でよく描かれた画題「瀟湘八景」が父の松栄によって描かれた。 瀟湘八景は、湖南省の水辺の名所を8か所集めたもの。
竹虎遊猿図(ちっこゆうえんず)壁貼付2面、襖貼付4面(衣鉢の間)
方丈の北西、檀那の間の北側に位置する「衣鉢の間」には、大画面の壁2面と襖4面に、竹林でくつろぐ虎や、手長猿の家族が描かれる。 松栄によるもので、動物の表現が穏やか。
(附指定)蓮鷺藻魚図 仏壇小襖貼付8面(仏間)
室中の間の北側にある「仏間」には、笑嶺宗訢や千利休の像が安置された仏壇があり、下部の小襖には松栄によって蓮池と観ずに遊ぶ魚が描かれる。 南の襖を開けると、室中の間の花鳥図と連続する。
この国宝を観るには
保存のために高精細デジタル複製が制作され、現物は京都国立博物館に寄託されている。 絵画としては比較的よく公開される方で、2016年には1年にわたって聚光院で里帰り展示もされた。
公開履歴
2025/4/26~6/15 大阪市立美術館「日本国宝展」※展示期間未確認
2022/9/3~2023/3/26 聚光院 里帰り展示
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
2020/10/6~11/29 東京国立博物館「桃山-天下人の100年」
2019/8/14~9/16 京都国立博物館「京博寄託の名宝展」
2017/10/14~11/26 九州国立博物館「新・桃山展」
2017/10/3~11/26 京都国立博物館「国宝展」
2017/4/11~5/21 京都国立博物館「海北友松展」
2016/3/1~2017/3/26 聚光院「創建450年特別公開」里帰り展示
2014/10/15~12/7 東京国立博物館「日本国宝展」
2014/10/15~11/16 京都国立博物館 名品ギャラリー
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-141
出典:国指定文化財等データベース 一部抜粋
【指定番号】00135-00
【種別】絵画
【指定名称】方丈障壁画
【員数】38面
【時代・年】室町時代
【附指定】紙本墨画蓮鷺藻魚図〈仏壇小襖貼付八/(仏間)〉
【所在地】京都国立博物館
【所有者】聚光院
【国宝指定日】1957.02.19