蟹満寺と「蟹の恩返し」のこと
京都府の南部で、奈良との県境に近い木津川市にある「蟹満寺(かにまんじ)」は、創建について詳しいこと不明だが、平安時代後期には成立した「今昔物語」や「日本霊異記」の「蟹の恩返し」の舞台となっているので、その頃には蟹満寺の名で存在していたことがわかる。 寺内の装飾は、蟹のモチーフを多く取り入れている。
「蟹の恩返し」は編纂された文集によって内容に違いはあるが、概ね以下のような内容である。 信心深い一家があり、ある日娘が村人から蟹を救ってやる。 別の日に父親が、蛙を食べようとする蛇に「娘を嫁にやるから」と蛙を救ってやる。 夜になると青年がやってきて娘を望むが、これは蛇が化けたもので、一家は一心に祈っていた。 夜が明けて外に出ると、大きな蛇と戦った数多くの蟹が共に死んでおり、娘が救った蟹が恩返しをしてくれたと手厚く葬ったという。
国宝『釈迦如来坐像』
当初は全体が鍍金された金銅仏で、高さ約2.4メートル、重さ約2.2トンの丈六の坐像。 飛鳥~奈良時代頃に作られたと考えられ、現地調査で据えられた当初から移動されていないことが判明している。 制作時期や様式が近いのは、薬師寺の本尊『薬師如来坐像』や、現在は興福寺国宝館にある旧山田寺の『仏頭』などがある。
この国宝を観るには
蟹満寺の本尊として本堂に安置されているので、拝観時間内ならいつでも観ることができる。
拝観時間:8:00~16:00
拝観料:一般¥500、高校生¥450、小中生¥200
JR奈良線「棚倉」駅から徒歩で約20分ほど、大きな勾配はなく舗装道のみ。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-240
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00077-00
【種別】彫刻
【指定名称】銅造釈迦如来坐像(本堂安置)
【ふりがな】どうぞうしゃかにょらいざぞう
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【所有者】蟹満寺
【国宝指定日】1953.11.14