国宝『片輪車螺鈿蒔絵手箱』
平安時代に作られた蒔絵の手箱で「片輪車」の柄は当時好まれた模様。 牛車の車輪が割れないように水に漬けていた様子を模様化したもの。 手箱としてはやや小さく、経箱だった可能性もある。 東京国立博物館には「片輪車」の蒔絵手箱が2点あり、もう1点の鎌倉時代に作られた国宝『片輪車蒔絵螺鈿手箱』は武家好みで、同じ意匠ながら作風に差が
上部にやや膨らみのある蓋の方が大きく、縁には鉛が嵌められている。 外側は流水にたくさんの車輪が見え隠れしており、車輪は螺鈿と蒔絵の2色になっている。 内側にも螺鈿の細工があり、様々な花や鳥や蝶などが外側より控えめに散らされている。
この国宝を観るには
所蔵館の東京国立博物館で、数年に1度公開されるが、機会はそれほど多くない。
公開履歴
2023/10/11~11/5 東京国立博物館「やまと絵」
2022/11/15~12/18 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2022/10/1~10/23 三井記念美術館「大蒔絵展」
2021/1/2~1/31 東京国立博物館「博物館に初もうで」
2019/1/2~3/31 東京国立博物館
2016/4/26~7/18 東京国立博物館
2014/10/15~11/9 東京国立博物館 「日本国宝展」
2014/1/15~2/23 東京国立博物館
2012/10/10~12/16 東京国立博物館
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-351
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00064-00
【種別】工芸品
【指定名称】片輪車螺鈿蒔絵手箱
【ふりがな】かたわぐるまらでんまきえてばこ
【員数】1合
【国】日本
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】縦22.4cm、横33.3cm、高13.0cm
【品質・形状】口縁に錫縁を回らした被蓋造の手箱。甲盛りがあり、塵居を設け、身の長側面中央に車輪形透彫りの銀製紐金物を打つ。総体漆塗りに鑢紛を蒔いた平塵地とし、蓋、身の全面に流水に片輪車の文様を表す。波文は金、車輪は青金粉を用いて研出蒔絵とし、車輪の半数は螺鈿とし、一部には毛彫りを施す。蓋、身の内面は、淡い平塵地に金銀の研出蒔絵で蝶、鳥、松、桜、楓、埋め、橘、柳、菊、竜胆、薄、桔梗、女郎花などの折枝を散らす。
【所在地】東京国立博物館
【重文指定日】1931.12.14
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】片輪車文は平安時代後期の料紙下絵に少なからず見られるもので、当時よく好まれた文様である。本手箱では、叙景的な文様に装飾性を加え、優美な趣向を如実に示す。現在知られる平安時代の蒔絵螺鈿の遺例は数少なく、意匠・技法共に優れ、資料的にも貴重な作品である。
鑑賞ログ
2019年1月
東京国立博物館 常設展にて
漆工コーナーで久しぶりの写真OK国宝のような気がします。 外側は派手な雰囲気ですが、中は品の良い花鳥柄が散らされていました。