国宝『鵲尾形柄香炉』
明治11年に法隆寺から皇室に献納され、現在は東京国立博物館所蔵になっている「法隆寺献納物」の一点。 「柄香炉」は儀式などの際に仏様にお香を奉げるための道具。
この柄香炉は、真鍮製で金メッキがほどこされている。 「鵲尾形」とあるのは、柄の先端部分が3つに割れていて、鵲(かささぎ)の尾を連想させるため。
柄の裏には聖徳太子の師である「慧慈」の名が、朱で書かれている。 火炉(カップ型の香をたく部分)の縁裏には「上宮」と彫られており、上宮とは聖徳太子のことで、ゆかりの品だと考えられる。
この国宝を観るには
特別展や他館への貸出がない限り、東京国立博物館の法隆寺宝物館で常設展示されている。 法隆寺宝物館には、重要文化財の香炉が数点所蔵されている。
法隆寺宝物館でいつも観られる国宝
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文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-534
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00238-00
【種別】工芸品
【指定名称】金銅柄香炉〈鵲尾形/(法隆寺献納)〉
【ふりがな】こんどうえごうろ
【員数】1柄
【時代・年】飛鳥時代
【寸法・重量】総長36.4cm
【重文指定日】1957.06.18
【国宝指定日】1964.05.26
【説明】明治11年法隆寺から皇室に献納された宝物類(法隆寺献納御物の名で親しまれ、正倉院の宝物と並び称されている)の中に含まれているものである。柄のついた香炉で、柄の末端が鵲(かささぎ)の尾のように三股にひらいている。柄裏に「慧慈」と朱書され、縁裏に「上宮」の刻字があるが、上宮は聖徳太子のことであり、また慧慈は太子の師である。自然鉱の真鍮(しんちゆう)である鍮石から製したものとみられるが、鵲尾(じやくび)形の柄はふつうの香炉にはみられない。おそらく柄香炉として最古の遺品であろう。