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国宝-書跡典籍|古文尚書(巻第三・第五・第十二)[東洋文庫/東京]

国宝DB-書跡・典籍

古文尚書とは

「尚書」は「書経」とも呼ばれる四書五経の五経の1つで、中国の歴史を記したものを、孔子が編纂したといわれる。 儒教の重要な経典の1つにも数えられ、昭和や平成をはじめ、日本の元号のいくつかは尚書から採用された。

秦の始皇帝による焚書(思想弾圧で書が燃やされた)によってオリジナルは失われ、現在伝わるものは「古文尚書」と「今文尚書」がある。 古文尚書は、孔子の旧宅を壊した時に発見されたもので、古い文体で書かれていたのでこの名で呼ばれる。 古文尚書もすでに失われており、現在残るのは「偽古文尚書」だともいわれる。

国宝『古文尚書(巻第三・第五・第十二)』

東洋文庫所蔵の古文尚書は、使われている漢字や書体などから、7世紀前半頃の唐で書写されたものと考えられ、日本最古の尚書である。 平安時代中期頃に日本で加えられたとされる、漢文を読むための「ヲコト点」が朱で入っている。

紙裏にも文書が書かれているが、これは古文尚書とは関係がなく「元秘抄(鎌倉時代に記された年号に関する研究)」を写したもの。 東京国立博物館所蔵の国宝「第六巻」と、宮内庁にあるものの裏にも同時期に書かれた元秘抄がみられ、これらは元は公家の広橋家の所有であった。

国宝『古文尚書』東洋文庫
国宝『古文尚書』東洋文庫

ヲコト点とは

漢文を読むための記号で、文字の周りに点を打ち、その場所によって助詞などを読み足した。 寺社や学者によって点を打つ場所や読み方が異なる。 「ヲコト」とはいくつかの流派の右上の2つが「ヲ」と「コト」だったためで、「てにをは」は四隅の文字を拾ったもの。

東洋文庫ミュージアム展示パネル

この国宝を観るには

所蔵館の東洋文庫ミュージアムは、3~4カ月ごとに企画展を開くが、毎回1点の国宝が公開されるので、数年に1度は観る機会がある。

公開履歴

2021/6/30~9/12 三菱一号館美術館「三菱の至宝
2020/11/25~2021/1/17 東洋文庫ミュージアム「岩崎文庫の名品―東洋の叡智と美

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-559
【指定番号】00005-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】古文尚書〈巻第三、第五、第十二/〉
【ふりがな】こぶんしょうしょ
【員数】1巻
【国】中国
【時代・年】唐時代
【ト書】紙背元秘抄
【所有者】東洋文庫
【国宝指定日】1951.06.09

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

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