国宝『寛平御時后宮歌合』
寛平元年頃に、宇多天皇の母后「班子女王」の邸で催された歌合で、紀友則、紀貫之、壬生忠岑、大江千里らの名前がみられる。 春・夏・秋・冬・恋をテーマに、左右が各20首ずつを詠み、合計200首が残されている。
この巻は、歌合の当時に書かれたものではなく、後世に書写されたもので、鎌倉幕府の6代将軍になった宗尊親王の筆だという説もある。 近衛家に伝来した「十巻本歌合」の一部のため「十巻本」と呼ばれている。
「歌合」とは
平安時代に宮中や貴人邸で開催された催しで、歌人を左右に分けて双方に交互に歌を詠ませ、その優劣を比べるもの。 文化的で雅な遊びとして始まるが、後世では和歌の力量が重んぜられるようになる。
后宮=班子女王のこと
この歌合が行われたのは寛平時代(889~898年)で、時の天皇である宇多天皇の母后(皇太后)の「班子女王」が主催した。 班子女王は桓武天皇の皇子「仲野親王」の娘で、光孝天皇が即位する前の親王の頃に妃となり、光孝天皇の即位とともに女御となる。 4男4女をもうけ、宇多天皇が即位すると皇太后となった。
この国宝を観るには
東京国立博物館の国宝室などで、数年に1度は公開される。
公開履歴
2022/11/15~12/18 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2021/6/15~7/11 東京国立博物館 国宝室
2019/5/3~6/2 東京国立博物館「美を紡ぐ 日本美術の名品」
2018/5/8~7/1 東京国立博物館
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-599
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00056-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】寛平御時后宮歌合(十巻本)
【ふりがな】かんぴょうのおんとききさいのみやうたあわせ
【員数】1巻
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1952.03.29