国宝『観世音寺資財帳』
資材帳は、国家が管理する官大寺や定額寺に対し、資産の目録や寺の縁起を記録して提出させたもので、奈良時代から平安中期頃まで作成された。 これは、大宰府にある「観世音寺」の資材帳で、延喜5年(905年)の記録である。 他には、京都の広隆寺や、大阪河内長野の観心寺の資材帳が、国宝に指定されている。
資材帳には、仏像や仏具・経典など寺の蔵品、荘園や奴婢などの資産やそこで取れる名産品、寺の伽藍配置や縁起なども記録されている。
観世音寺のこと
大宰府政庁の東に位置する観世音寺は、天智天皇が母である斉明天皇の菩提を弔うために発願した寺。 奈良時代には中国から渡った鑑真によって、僧に位を授けるための「戒壇」を行う戒壇院が設けられた。(現在は別の寺院「戒壇院」として残る) 日本で3寺のみの戒壇院として繁栄するが、平安期以降は衰退し、現在の建造物は江戸時代に黒田家の寄進により再建されたもの。 大宰府に配流となった菅原道真が、観世音寺の国宝『梵鐘』の音色を詩に詠んでいる
この国宝を観るには
東京芸術大学美術館では毎年春に、所蔵品を展示する企画展「藝大コレクション展」が開かれるが、この資材帳はあまり頻繁には公開されない。
公開履歴
2022/9/17~10/30 栃木県立博物館「鑑真和上と下野薬師寺」
2021/4/20~5/16 京都国立博物館「鑑真和上と戒律のあゆみ」巻中
2020/10/6~11/29 九州歴史資料館「福岡の至宝に見る信仰と美」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-779
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00003-00
【種別】古文書
【指定名称】観世音寺資財帳
【ふりがな】かんぜおんじしざいちょう
【員数】3巻
【時代・年】延喜5年(905年)
【ト書】延喜五年十月一日勘録
【所有者】東京芸術大学
【国宝指定日】1953.03.31