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国宝-書跡典籍|万葉集 巻第九残巻(藍紙本)[京都国立博物館]

国宝DB-書跡・典籍

万葉集のこと

奈良時代にまとめられた歌集で、短歌のほか長歌・連歌・旋頭歌・仏足石歌が収められ、編纂には大伴家持が関わったといわれる。 歌の数は4,500首を超えるが、その内の4,200首は短歌で、漢字を発音記号として使う「万葉仮名」で書かれる。 平安時代以降の歌集は貴人の歌が中心だが、万葉集は天皇や貴族の歌の上手から、農民や防人の歌まで採用されている。

国宝『万葉集 巻第九残巻』藍紙本

藍で染めた料紙に書かれているため「藍紙本」の通称で呼ばれる万葉集の写本で、11メートル以上の巻物で残っている。 藍紙といっても色は薄く、現在では薄い水色~ベージュのように見え、全体に銀の砂子が撒かれている。 原三渓の旧蔵品で、現在は京都国立博物館が所蔵している。

平安後期にしては男性的な筆跡で、巻末には「始自九月十七日、至于廿日」とあり、かなりの速さで書かれたことがわかる。

筆者の名は無いが、筆跡などから藤原伊房によるものという説が強い。 藤原伊房は、一条天皇らに仕え能書家として「三蹟」の1人にも数えられた藤原行成の孫で、父の藤原行経も能書家として高名。 行成に始まる「世尊寺流」は室町時代まで朝廷で重んじられた。

参考:万葉集断簡(藍紙本)東京国立博物館蔵

五大万葉集

奈良時代に成立した「万葉集」には多くの写本があるが、平安時代に遡るのは5点のみで「五大万葉集」と呼ばれている。 5点の通称と代表的なものは以下の通り。

藍紙本 国宝『万葉集巻第九残巻(藍紙本)』※このページ
元暦校本 国宝『元暦校本万葉集』東京国立博物館 ※このページ
金沢本 御物のほか、国宝『万葉集巻第三、第六巻残巻(金沢万葉)』前田育徳会
天治本 重文「万葉集巻第十五残巻」冠纓神社/香川県
桂本 御物のほか、断簡が各所に分蔵

この国宝を観るには

所蔵館の京都国立博物館に出展されるか、各地の博物館へ貸し出される時にしか観られない。 藍紙本は断簡として世に出ているものもあるので、そういったものを含めると観られる機会は多い。

公開履歴

2023/6/13~7/30 京都国立博物館 名品ギャラリー
2020/10/10~11/1 京都国立博物館「皇室の名宝
2019/7/13~9/1 横浜美術館「原三渓の美術
2017/10/11~10/15 京都国立博物館「国宝」
2013/8/13~9/8 東京国立博物館「和様の書」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-10333
【指定番号】00125-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】万葉集巻第九残巻(藍紙本)
【ふりがな】まんようしゅうまきだいきゅうざんかん
【員数】1巻
【時代・年】平安時代
【所在地】京都国立博物館
【国宝指定日】1952.11.22

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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