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国宝-建築|法隆寺 三経院・西室[奈良]

国宝DB-建築

国宝『三経院・西室』

古代寺院では、金堂や塔など伽藍の中心的な建築群を囲むように、周辺に僧侶が生活する僧房が建てられた。 法隆寺西院の廻廊の西外側に、西側廻廊と並行に建てられているのが西室で、その南端が改装されて三経院となっている。 名称は異なるが、三経院とその北に続く西室とは1棟の建造物である。 法隆寺西院には飛鳥時代の建物が多く残るが、この棟は鎌倉時代初期の寛喜3年(1231年)に建造されたもので、棟札1枚が附に指定されている。

三経義疏のこと

三経(さんきょう)は、法華経・勝鬘経・維摩経の3つの経典を指し、義疏(ぎしょ、ぎそ)は注釈書のことで、推古14年(606年)勝鬘経と法華経を講じた聖徳太子が、3つの経典について記したという注釈書。 この義疏は、国宝の『』『水注(水滴)』『墨床』を用いて記したという伝承がある。 法華義疏のみ聖徳太子の直筆とされるものが現存しており、現在は皇室の御物となっているが、東京と奈良の国立博物館で開催された「聖徳太子と法隆寺」展で短期間だけ公開されている。 

この国宝を観るには

法隆寺の有料拝観エリア内にあり、拝観時間内に入場すれば観ることができる。 通常は内部公開はされていないが、三蔵会や夏安居では一般でも内部に入ることができる。

この国宝での行事

三蔵会

西遊記のモデルにもなった翻訳僧の「玄奘三蔵」の功績をたたえ、命日の2/5に法要が行われる。

夏安居(げあんご)

安居は、仏教発祥のインドで僧たちが雨季の3ヶ月ほど游行をせず、僧院など1ヶ所にとどまって修行をしたことに始まり、現在でも各宗派で行われている。 法隆寺では、5/16~8/15の期間に西院で「三経義疏」の講義が行われる。

文化財指定データ

【台帳・管理ID】102-2707
【指定番号】00175
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】法隆寺三経院及び西室
【ふりがな】ほうりゅうじさんぎょういんおよびにしむろ
【員数】1棟
【時代・年】寛喜3年(1231年)
【構造・形式】桁行十九間、梁間正面五間、背面四間、一重、切妻造、妻入、本瓦葺、正面一間通り庇付、向拝一間、檜皮葺
【附指定】棟札1枚
【所在地】奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内
【重文指定日】1908.04.23
【国宝指定日】1955.02.02
【説明】西院回廊の西方に建つ桁行十九間の南北棟建物で、南七間を三経院、北十二間を西室とする。現在の建物は寛喜三年(一二三一)の再建で、西室は文永五年(1268)に建立された可能性が大きい。西室北端の一間のみ土間床で他は前面板敷とし、三経院の三方には高欄付の縁を設ける。軸部は自然石礎石に丸柱を立て、組物は大斗肘木、軒は角垂木一軒とし、広庇は一軒疎垂木である。三経院は寝殿造の対屋を思わせる住宅風仏堂であり、西室は二間一房制の僧坊の外観をよく伝える。法隆寺西院伽藍の西にあつて、東の聖霊院及び東室とともに上代寺院三面僧房の俤をのこす。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

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