国宝『高松塚古墳壁画』
奈良県明日香村の高松塚古墳の内部に描かれた壁画で、国宝には「絵画」として指定されている。 鎌倉時代ごろに盗掘されており、副葬品などはほとんど残っておらず、誰の墓であったかもわかっていない。
円墳の中に石で作った「石室」があり、奥行は265cmあるが、高さ113cm、幅103cmほどの大きさ。 雨やカビなどが度々問題になり、現在は石室を解体しての大規模な修復・保存処理をしており、完了後は現地に戻される予定。
南側に入口があり、東・西・北・天井の4面に漆喰を塗った上に、以下の絵が描かれている。
東壁(右) 手前から、男子群像、青龍の上に太陽、女子群像
西壁(左) 手前から、男子群像、白虎の上に月、女子群像
北壁(奥) 玄武
天井(上) 星辰(星座図のようなもの)
※入口である南側にも朱雀が描かれていたと想像される
男子群像・女子群像とも4名ずつ、全部あわせると16名の人物が描かれており、当時の上流階級と思われる風俗をしている。 特に西側の女子群像は保存状態が良く「飛鳥美人」などと呼ばれている。
この国宝を観るには
春・夏・秋・冬に各1週間ほど、事前予約制で「仮設修理施設」にて見学できる。 インターネット・電話での事前予約が基本だが、定員に満たない場合は追加募集もある。 同時期に国宝『キトラ古墳壁画』も公開され、キトラは公開期間が1ヶ月ほどと長い。
特別公開 公式サイト
仮設修理施設は、高松塚古墳とは離れているので注意が必要。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-157
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00148-00
【種別】絵画
【指定名称】高松塚古墳壁画
【ふりがな】たかまつづかこふんへきが
【員数】4面
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【所有者】国(文部科学省所管)
【国宝指定日】1974.04.17
【説明】本壁画は、日月星宿図・四神図・人物図からなるが、その主題や画面構成には高句麗【こうくり】壁画との関連が考えられる。しかし人物群像に見られる奥行のある空間構成や暈取り、塗り重ねの彩色法および運筆などは、中国の新しい技法を採り入れたものと見られ、その点で唐代絵画との密接な結びつきが考えられる。なお人物図は、時世粧を写したものと見られ、わが国上代絵画の中にあって稀有なもので、貴重な遺例ということができる。制作時は七世紀末~八世紀初めが考えられる。