春日 若宮神社のこと
春日大社の摂社として本殿から南に200mほどの場所にあり、本殿の第三殿「天児屋根命」と、第四殿「比売神」の御子神「天押雲根命」をまつる。 若宮の周辺には摂社末社が多く「若宮十五社めぐり」ができる。
平安末期に大雨による飢饉や疫病が続いたため、関白の藤原忠通が保延元年(1135年)に若宮社殿を建立し、それまで本殿に合祀されていた水の神である若宮を分祀する。 翌年からは「春日若宮おん祭」を行い、現在まで途切れることなく続いている。 現在は、毎年12/17を中心に執り行われる。
国宝『若宮御料古神宝類』
神社には、神が生活したり楽しむための道具や調度が「神宝」として奉納されるが、遷宮などで新しい神宝が奉納されると、それまでのものは「古神宝」と呼ばれる。 春日大社では、この若宮神社の古神宝と別に、本宮の古神宝類が『本宮御料古神宝類』として国宝に指定されている。
若宮の古神宝は、武具や楽器や獅子など御子神らしい内容品で、一部の品は寄進者が記録に残っている。 蒔絵弓・平胡録・水晶鏑矢・金銅尖矢は、おん祭の始まった保延2年(1136)に、後に悪左府ともあだ名される藤原頼長が奉納し、笙は保延元年(1137年)に頼長の父である藤原忠実が奉納している。
国宝指定の内容
蒔絵弓 1張
蒔絵弓 1張
毛抜形太刀 1口
黒漆平文鉾 1本
黒漆平文飾劔(柄欠失)1口
平胡籙 1具
水晶鏑矢(黒漆沃懸地斑箆金銅雁俣鏃付)7隻
金銅尖矢(黒漆沃懸地斑箆、内三隻鏃欠失)23隻
銀樹枝 1本
銀鶴及磯形 1対
金鶴及銀樹枝 1具
銀鶴 1箇
銀琴 1張
水晶珠 1顆
笙 1管
和琴 1張
銅狛犬 1躯
銅造狛犬 1躯
白磁獅子 1躯
木造彩色磯形残闕 1基
木造彩色磯形残闕 2基
この国宝を観るには
春日大社の国宝殿は、年に3~4度の企画展が開かれ、国宝を含む社宝が交代で展示される。 この古神宝類が、全て展示されることはまずまれだが、テーマに沿って何点かずつ展示される場合が多い。 近くの奈良国立博物館で公開されることもある。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-491
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00200-00
【種別】工芸品
【指定名称】若宮御料古神宝類
【ふりがな】わかみやごりょうこしんぽうるい
【国】日本
【時代・年】平安時代(12世紀)
【所有者】春日大社
【国宝指定日】1955.02.02
【追加年月日】2001.06.22
【説明】蒔絵弓、平胡籙、金銅尖矢は、千鳥毛文書の記事から右大将藤原頼長の献進した神宝であることが知られる。その他の神宝も、平安時代後期における優れた意匠、技巧を見せ工芸史上、また一群の資料としても貴重である。