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情報|奈良国立博物館「春日大社 若宮国宝展」2022/12/10〜2023/1/22

情報-博物館・美術館

春日大社 若宮のこと

春日大社の本宮には4棟の本殿に4柱の神様が祀られていて、その第三殿「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」と、第四殿「比売神(ひめがみ)」の間には、御子神の「天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)」がおられます。 平安中期に出現され、しばらくは第四殿の母神の御殿に、その後は第二殿と第三殿の間に祀られていましたが、平安後期に水害が重なって飢饉や疫病で世が荒れた時に、関白の藤原忠通が本殿から200mほどの地に本殿同様の御殿を建ててお遷しし、祭礼を行いました。

この祭礼が現在まで続く「春日若宮おん祭」で、毎年12/17を中心に執り行われています。 このお祭りでは、深夜0時に若宮さまを奈良国立博物館の南にある「お旅所」へお遷しし、24時間にわたって様々な芸能を奉納します。 一般向けにも桟敷席が販売されますので、歴史や古典芸能に興味のある方にはおすすめの祭礼です。 ただし、12月の奈良で桟敷でじっとしているのはかなりツラいので、徹底的な防寒対策が必須です。

春日大社 若宮

春日大社 若宮国宝展

春日大社では20年ごとに「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われ、若宮の御造替が10月に行われたところです。 社殿の修復も行う御造替の期間は、社殿をごく間近で拝観できる特別拝観も行われ、上の写真はその時に撮影したものです。 今回の展覧会は、この式年造替を記念した特別展となっています。

神社には、神様が生活したり楽しむための道具や調度類が「神宝」が置かれていて、これは有力者の参拝や式年遷宮の折などに奉納されます。 春日大社若宮にも多くの神宝が伝わっていて、特に歴史が古く貴重な数十点が国宝に指定されています。 春日大社の国宝殿は、数か月ごとの展示替えがあるので、若宮のご神宝もちょこちょこ公開されるのですが、今回の展覧会では若宮古神宝が全て公開されるという事で、超レアな展覧会ではないでしょうか。

古神宝の他にも、昨年国宝に指定されたばかりの『春日権現験記絵』や、源義経が奉納したと伝わる鎧兜、同じく義経の所用だったと伝わる金細工が見事な籠手など、数多くの国宝が公開されます。 今年は12/17のおん祭が土曜日ですので、おん祭の行列を見学して、こちらの展覧会を観るという贅沢なハシゴが実現できます。

奈良国立博物館「春日大社 若宮国宝展」チラシより

この展覧会で観られる国宝

若宮御料古神宝類[春日大社/奈良]

古神宝というと、十二単や束帯のような装束や蒔絵手箱などの調度品が多いのですが、こちらは若宮様が御子神様ということで、弓矢などの武具類や、現代でいうフィギュアのような生き物を象った置物、楽器などが多いんです。 藤原忠実・頼長父子が奉納したと記録のある宝物などもあるので、1点1点キャプションをしっかり読むと楽しそうですね。 「和琴」だけ後期のみの公開です。

春日権現験記絵[宮内庁三の丸尚蔵館/東京]

春日大社の神様がいかに霊験あらたかかが描かれた全20巻の絵巻物で、絵は鎌倉時代の宮廷絵師「高階隆兼(たかしなたかかね)」が、詞書は鷹司基忠ら4人が書いています。 12/25までの前期には第13巻が、12/27~の後期には第7巻が公開されます。

金地螺鈿毛抜形太刀[春日大社/奈良]

毛抜形太刀というのは、手に持つ部分の「柄(つか)」の中心に毛抜形の透かし模様があるもので、平安時代に宮中を警備する「衛府官人」が身に着けていました。 高位の公家が儀仗で身に着けたのは、飾太刀と呼ばれる豪華なもので、金属や螺鈿の細工が華やかに施されました。 この毛抜太刀はその最たるもので、柄の部分が金銅(銅に金メッキ)ではなく、純度の高い金で作られています。 そんなに豪華なものなのに、鞘には竹林の雀を狙う愛嬌のある猫が螺鈿で描かれたかわいらしいものです。

赤絲威大鎧(竹虎雀)[春日大社/奈良]

毛抜形太刀の猫と双璧の春日大社宝物のカワイイシリーズ、源義経が奉納したという伝承のある鎧兜で、肩にかぶさる板状の「大袖」にちょっととぼけた虎ぎます。 ちゃんと髭まであるのですが、首を傾げたような姿がなんともかわいらしいのです。 虎以外に竹と雀がモチーフになっているので、通称「竹虎雀」の大鎧と呼ばれています。

義経籠手[春日大社/奈良]

こちらも源義経に縁のもので、頼朝に追われた義経が興福寺の勧修坊に残していったといわれています。 籠手(こて)は腕を護る防具で、筒状の布に外側だけ金属が付いていますが、蝶や菊の細かい細工が実に見事です。 こちらは12/25までの前期期間のみの公開です。

本宮御料古神宝類[春日大社/奈良]

こちらは春日大社の本宮の方の古神宝で、若宮古神宝よりも数多くの古神宝が国宝に指定されています。 今回は本宮古神宝を代表する「蒔絵琴」だけが出展されるようで、前期(~12/25)のみの公開です。

展覧会 概要

期間:2022/12/10〜2023/1/22 
休館:毎月曜(1/2・1/9は開館)、12/28~1/1、1/10
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,600、大高生¥1,400、小中生¥700

奈良国立博物館 公式サイト

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