四天王寺のこと
大阪の四天王寺は、推古天皇元年(593)に聖徳太子が建立したと伝わる古刹で、自ら四天王像を彫って戦勝祈願をした聖徳太子が、戦勝のお礼に建立したと伝わるそうです。 「四天王寺式」と呼ばれる伽藍配置は、南にある入り口の南大門から、中門>五重塔>金堂>講堂が北に向かって一直線に並び、中門から講堂が回廊で結ばれています。 この伽藍配置は、大陸からの影響が強い、古い形式なんだそうです。
現在の宗派は「和宗」で、元は様々な宗派の僧侶が集まり、広く協議を学ぶという「八宗兼学」の寺で、現在は華厳宗とする東大寺なども、このような形式だったようです。 四天王寺は毎月21・22日の縁日が有名ですが、21日は「大師会」で弘法大師の縁日、22日は「太子会」で聖徳太子の縁日と、日本仏教史の様々な人物がかかわるのが、四天王寺らしさでしょうか。 あべのハルカスで人気の天王寺にも近い中心地にありながら、ここだけはゆったりとした時間が流れて、別世界のような空間です。
元三大師堂 ~鬼となった高僧 良源祀る御堂の歴史~
このお正月の宝物館は「元三大師堂 ~鬼となった高僧 良源祀る御堂の歴史~」というタイトルで、元三大師(がんざんだいし)こと慈恵大師良源(じえだいしりょうげん)が主役です。 平安時代中期に天台座主をつとめ、比叡山中興の祖と呼ばれている良源は、元月(1月)3日に亡くなったので、元三大師の名で親しまれています。 今は多くの寺院や神社で引ける「おみくじ」は、元三大師が始めたといわれています。
長い角であばら骨が見えているのに、どこか飄々とした表情の鬼の姿を、おみくじやお札で見たことはないでしょうか。 これは、疫病が流行ったときに、良源が鬼の姿になって、疫病神を追い払った姿なのだそうです。 この姿は「角大師」と呼ばれて、疫病除けや厄除けの御利益があるとされています。 このコロナ禍にはぴったりですね。
四天王寺の北側には墓地が広がっていて、地下鉄「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」駅から歩いて一番近い入り口の先に、墓地に囲まれるように「元三大師堂」が建っています。 堂の前にお百度石があっておみくじが引けるところといえば、ピンとくる方もいるのではないでしょうか。 こちらには秘仏の「角大師坐像」が安置されていて、1/17~31は、この展覧会で特別公開されます。 他にも、僧侶の姿の肖像画や出現記など、元三大師にまつわる寺宝が集められるようです。 あわせて江戸時代初期に建造された、重要文化財の元三大師堂も、ぜひご覧ください。
この展覧会で観られる国宝
扇面法華経冊子から「雪中訪簾中図」
1/1~1/15のみ
扇形の冊子状になった装飾経で、やまと絵の下絵に金銀箔を散らし、柔らかな文字で法華経が写されていますが、下絵が黒の部分は金泥に変えるなど、とても手の込んだものです。 元は10冊あったようですが、四天王寺には5帖、東京国立博物館の1帖は完本として国宝に指定され、残りは断簡になってしまっているようです。 「雪中訪簾中図」の面が公開されるようで、この季節らしい場面ですね。
展覧会 概要
期間:2021/1/1~2/7
休館:会期中は無休
時間:8:30~16:00(入館は20分前まで)
料金:一般¥500、高大生¥500、中学生以下無料
四天王寺 公式サイト