京都 高山寺展
もしかしたら日本一有名な国宝絵画かもしれない鳥獣人物戯画は、京都の山の中にある高山寺に伝わる4巻の絵巻です。 高山寺はかつて神護寺の子院が荒廃していたのを、後鳥羽院が明恵上人に与えて高山寺として再興しました。 今回出展される絵画などの他にも多数の国宝や重要文化財を含む寺宝が伝わります。
明恵上人は華厳宗と真言宗を学び禅の修行もした人で、高山寺には多くの学識や才能が集まったようです。 釈迦への思いが強くて絵画の前で耳を切り落としたり、法然の念仏を批判したりと激しい面もあれば、自分のみた夢日記を40年もつけたり、遺愛の品がやけにかわいらしかったり、とても魅力的な人物です。 国宝ではありませんが、個人的カワイイ国宝に指定したい子犬像や神鹿像も公開されますので、北海道の方だけでなく遠征しても満足できる内容だと思います。
この展覧会で観られる国宝
国宝『鳥獣人物戯画』[高山寺/京都]
7月9日~7月15日:甲巻の前半(兎や蛙の水泳や弓矢ほか)
7月17日~7月28日:甲巻の後半(兎や蛙の相撲や法要ほか)
7月30日~8月4日:乙巻の前半(馬・牛・鷹・犬・鶏)
8月6日~8月18日:乙巻の後半(麒麟・虎・獅子・龍・象)
8月20日~8月25日:丙の前半(人々の遊び)・丁巻の前半(僧侶や芸能)
8月27日~9月1日:丙の後半(甲巻風の動物)・丁巻の後半(人々の風俗)
説明不要の鳥獣戯画ですが、あの有名なウサギや蛙の場面は4巻の内の甲巻だけなんです。 丙巻にも似た絵が出てきますが雰囲気が少し異なるので、例のアレを観たいなら7/28までに鑑賞してください。 有名な絵なのでいろいろなグッズのモチーフになっていたり、本やレプリカも販売されていますが、実物の墨の濃さや筆のタッチまではなかなか再現が難しいようで、実物はやっぱりいいんです。 未見の方は、一度は実物を観て頂きたい。 なお、東京で公開されるととんでもなく人が集まってしまい、コロナ流行中の完全予約時にはネットでの予約枠争奪戦、その前の時は4~5時間待ちになっていましたので、美味しい海鮮やジンギスカンを楽しみに、涼しい北海道に遠征するのも手だと思います。
国宝『篆隷万象名義』[高山寺/京都]
今回の展覧会で一番レアな国宝がこちらではないでしょうか。 高山寺が所有する国宝の書跡・典籍類3件の内の1件で、弘法大師空海が編纂した字書の現存最古の写本です。 1つの漢字を篆書と隷書という2種類の書体で書かれてあるので、この名前がついています。 全6帖あり、前期・後期で各3帖ずつが公開されます。
国宝『仏眼仏母像』[高山寺/京都]
鎌倉時代に描かれた仏画で、ほっそりとした白い身体で、華やかな瓔珞や獅子冠を身に着けています。 小さい頃に両親を亡くした明恵は、釈迦を父、仏眼仏母を母と慕い、釈迦に近づくために仏眼仏母像の前で右耳を切り落としたのだそうです。 上部に書かれた和歌などの賛は、明恵が自身で書いたものです。
国宝『明恵上人像』[高山寺/京都]
晩年に高山寺に入った明恵は、寺の裏山に華宮殿という庵を結び、二股にわかれた松を「縄床樹」と名付けて、その上で座禅をしたのだそうです。 この肖像画は明恵の弟子が描いたと伝わるもので、近くの木に数珠をかけていたり、鳥やリスが描き込まれていたり、観ているとほっこり気分になるかわいらしい肖像画です。
展覧会 概要
日程:2024/7/9~9/1
休館:月曜日(7/16と8/13は開館し、翌火曜日が休館)
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
夜間:金曜は19:30まで、7/19は21:00まで(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,900、高大生¥1,200、中学生¥700、保護者同伴の小学生以下は無料