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国宝-絵画|禅機図断簡(智常・李渤図)因陀羅筆[畠山記念館/東京]

国宝DB-絵画

禅機図断簡とは

元は1巻だった因陀羅筆の「禅機図断簡」は、同名の国宝指定が5件あり、都内の美術館博物館が1巻ずつ持っている。 中国の禅僧「因陀羅」の作で、同じく中国の禅僧「楚石梵琦」の賛(画の上部などに文章などを書いたもの、自画自賛の語源)がある。

因陀羅の画は中国には残っておらず、文献などにもあまり登場しない。 独特な筆と表現されることも多く、髪や髭などは乾いた筆をこすりつけるように描かれている。

国宝『禅機図断簡(智常・李渤図)』

禅機図は、禅宗にかかわる逸話を画にしたもので、この画は「李渤」が「須弥(しゅみ)を芥子(けし)の中に入れる」の意味が理解できず、帰依している「智常禅師」の元を訪れた情景。 禅では代表的な画題。

2018年 畠山記念館「原三渓展 」チラシより

国宝に指定された『禅機図断簡』リスト

禅機図断簡(布袋蔣摩訶問答図)[根津美術館]
禅機図断簡(智常禅師図)[静嘉堂文庫]
禅機図断簡(寒山拾得図)[東京国立博物館] ※画像あり
禅機図断簡(丹霞焼仏図)[石橋財団]
禅機図断簡(智常・李渤図)[畠山記念館]

この国宝を観るには

所蔵館の畠山記念館には常設展はなく、年に4度ほどの企画展が開催されており、数年に1度程度は出展されていたが、2019年3月から長期工事のため休館している。

公開履歴

2021/10/9~11/7 京都国立博物館「畠山記念館の名品

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-131
【指定番号】00125-0
【種別】絵画
【指定名称】紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(智常・李渤図)〉
【員数】1幅
【国】中国
【時代・年】元時代
【作者】因陀羅
【品質・形状】
【ト書】楚石梵琦の賛がある
【所有者】畠山記念館
【国宝指定日】1956.06.28

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ

2018年11月

畠山記念館
この秋、3点目の禅機図断簡ですが、こちらのは「智常・李渤図」で、李渤が師である智常の元を訪れているところ。
こちらでは、茶室の延長のような畳を敷き詰めた空間でゆっくり拝見することができました。 小上がりのような、末広亭の桟敷席のような畳をずらっと並べたスペースで、正面にはガラスがはまっていますが、5副の掛軸が感覚もゆとりを持って掛けられています。 観る人は正面に正座して眺めますが、床の間の掛け軸を眺める感覚にとても近い状態ではないでしょうか? 畳敷きの延長の突き当たりには茶室もあって、¥500でお抹茶(干菓子付き)も頂けます。 
こういった禅画は茶の湯の席でも好まれたでしょうから、こちらの記念館での展示が当時の観方に一番近いのかなと思いながらの鑑賞でした。

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