名品展 国宝「紅白梅図屏風」
熱海は、昔から避寒地として人気があった穏やかな気候の土地で、陽当たりのいい斜面に植えられた梅は、1月下旬から咲き始めます。 MOA美術館では、毎年この時期に尾形光琳の紅白梅図屏風の公開と、自館の名品だけで構成する展覧会を開催しています。
3点の国宝の他、重要文化財は数えきれないくらい出展され、幅広い時代の日本美術の名品を一度に観ることができます。 国宝以外にも、唐の絵画「樹下美人図」は類例の少ない作品ですし、奈良時代の絵因果経は同様の作品2点が国宝に指定されています。 鎌倉時代の手箱も立派ですし、仏像や仏画にも良品がたくさんありますよ。
この展覧会で観られる国宝
紅白梅図屏風(尾形光琳筆)
尾形光琳の作品の中でも代表作の呼び声高い、2曲1双屏風です。 いかにも琳派らしい、金箔地にデザイン化された流水と紅白梅を描いた作品で、画題の梅が咲く季節に公開されます。
手鑑 翰墨城
手鑑は、書道の鑑定や手本のために、古来からの能筆家の書跡を貼り集めたもので、この『翰墨城』は三大手鑑にも数えられる代表的なものです。 今回の展示では、平安時代を代表する名筆「三跡」の書を集めた部分が公開されています。 仮名書道の代表的な名品が観られます。
色絵藤花文茶壺(野々村仁清作)
江戸時代初期の京焼の陶工で、陶芸に初めてサインを入れた野々村仁清作の茶壷です。 国宝の陶芸作品は、天目茶碗など中国のものが多く、日本で作られた陶芸作品は5点しかなく、その内の2点が仁清の作品です。 大きなサイズの茶壷に、色絵で藤の花房が描かれ、MOA美術館の展示では360度から眺めることができます。
鑑賞ログ
MOA美術館はけっこう広いのですが、自館の作品だけでこれだけ豪華な展覧会ができるのはさすがです。 そして、MOA美術館は自館の所蔵品は写真撮影OKなんです。 今時は、これが何よりも宣伝になったりしますよね。
国宝は全て同じ部屋に展示されていて、どれも観やすい環境です。 紅白梅図もかなりスペースが取ってあるので、近くで観たり離れて眺めたり。 さすがのモダンさですね。 やはり絵画は写真やWEBよりも、生で観るのが何よりです。
手鑑は、どこのものも豪華なのは分かりきっていますが、スペースの関係上と構造上(両面に貼ってあるのです)一部しか観られないんです。 今回は三跡(小野道風・藤原佐理・藤原行成)が中心で、今の私の仮名書道ブームにはぴったりでテンションあがります。 同じ筆者でも、その所によってかなり手跡が違うんですね。 欲を言うと、和歌を現代語(?)で掲示していただけると非常にうれしかったです。 翰墨城の頁替えがあるなら、毎年通ってもいいなとおもいました。
ついでにグルメ
MOA美術館に向かうには、熱海駅を降りて左に少し歩いたところにあるバスターミナルからバスに乗ります。 バスターミナルに向かう途中でちょっと海のほうに目をやると、熱海駅前第一ビル(愛称:アタミックス)があります。 見た目も中身の昭和レトロなビルですが、食事するところは意外な穴場が多いんです。
地下にある「そうめん次郎」は、そうめん(にゅう麺)の専門店です。 どこかで聞いたような名前ですが(笑)二郎ではなく次郎です。
メニューは、この時(2020年1月)は、「貝汁湯麺」「鯛だし湯麺」「牡蠣湯麺」「オニオンスープ湯麺」のみ。 値段は¥600前後ですが、そのままだと量が少ないので、お腹が空いているときは+¥150で「W盛り」が良さそうです。
今回は「鯛だし湯麺」をチョイス。 キュッとしまったツルツル細麺に、ほぐした焼鯛の身も入って、しっかりめの出し汁で頂きます。 柚子と三つ葉と甘煮の椎茸が入っているので、ちょいちょいつまみながら味変できて楽しいです。 この量なら他のお店とハシゴできるのでオススメですよ。