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情報|東京国立博物館「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」2021/6/22~9/12

情報-博物館・美術館

7/26 鑑賞ログ追記

国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ 展

2020年に予定されていた特別展ですが、新型コロナの関係で1年延期され、鳥獣戯画展の終了に替わってスタートする特別展です。 1日で特別展の展示替えをするわけではなく、こちらの企画は本館の大階段奥にある「特別5室」で開かれます。 最近では、即位の礼で使用された「高御座」が展示されていた天井の高い空間です。 聖林寺では、本堂から少し階段を上ったところに十一面観音の収蔵庫がありましたが、老朽化のため改修されることになり、その間にお出ましになられるようです。

今回の主役である聖林寺の十一面観音は、明治の廃仏毀釈で廃寺になった「大御輪寺」に安置されていたもので、他の仏像も同じように各地の寺々に散らばりました。 今回は、旧大御輪寺の仏像が何躯が集められる「大御輪寺OB会」でもあります。 大御輪寺は、日本最古の神社といわれる「大神神社(おおみわじんじゃ)」の神宮寺だったので、古代の祭祀に使われた出土品など、三輪山の原始信仰や大神神社のことも紹介されるようです。

東京国立博物館「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」チラシ

大神神社と大御輪寺のこと

大神神社(おおみわじんじゃ)は、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を三輪山に祀ったことが、古事記や日本書紀にも書かれている、日本最古の神社です。 三輪山自体を御神体として、禁足地として信仰の対象とし、その山裾に拝礼のための大神神社があります。

大御輪寺(だいごりんじ、おおみわてら)は大神神社の神宮寺で、中世には本地垂迹説や神仏習合が進み、三輪流神道が広められました。 大御輪寺・浄願寺・平等寺といった大神神社の神宮寺は全て廃寺になっていますが、大物主大神の子孫神「大直禰子命」を祀る大直禰子神社は、大御輪寺の本堂が使われているそうです。

神域である三輪山は、現在は入山参拝が許されていますが、長く禁足地とされてきました。 三輪山からは、古墳時代(4~5世紀)に祭祀を行った遺跡群が見つかっており、その中心的な「山ノ神遺跡」の出土品なども出展されるようです。

この展覧会で観られる国宝

十一面観音立像[聖林寺]

奈良時代の木心乾漆仏で、京田辺市にある観音寺(普賢寺)大御堂の国宝『十一面観音立像』と同じ官営の工房で作られたのではないかといわれています。 私個人の感想ですが、聖林寺の観音様は「写真より実物の方が男性的でワイルド」な印象で、観音寺の観音様は「写真より実物の方が柔和で優しい雰囲気」だなと思いました。 収蔵庫ではガラス越しに正面から参拝する形でしたが、今回はどのように展示されるか楽しみです。(背面が観たい。。。)

地蔵菩薩立像[法隆寺]

現在は法隆寺の大宝蔵院に安置されている地蔵菩薩は、平安時代に作られたカヤの一木造で、大御輪寺では十一面観音の脇侍だったそうです。 平安時代初期らしい、柔らかな重厚感のあるお地蔵様です。 他にも、奈良市と天理市の市境にある「正暦寺」の日光・月光菩薩もお出ましで、150年ぶりの旧大御輪寺仏の邂逅です。

東京国立博物館「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」チラシ

展覧会 概要

混雑を避けるために、事前予約優先制になるようです。当日券は数に限りがあるようなので、事前の日時指定券の予約がおすすめです。 招待券や会員の入館券がある方は、¥0の指定券を予約することができます。

期間:2021/6/22~9/12
休館:月曜日(8/9は開館)
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,500、大学生¥800、高校生¥500、中学生以下無料

展覧会 公式サイト
東京国立博物館 公式サイト

鑑賞ログ

聖林寺の収蔵庫改修の間の仮住まいで企画された?この展覧会は、2020年春の新型コロナ流行によるほぼロックダウン状態で、1年延期になってしまいました。 今年も開催されるかハラハラでしたが、無事に開幕して、まずは一安心。 ただ、この1年半ほどで「気になる展覧会はできるだけ早く!開いてるうちに行け!」という教訓が染みつき、9月中旬までの会期ですがさっそく行ってまいりました。

この夏は、平成館の2階で特別展「聖徳太子と法隆寺」をやっているので、聖林寺の十一面観音さまは本館の「特5室」にいらっしゃいます。 この部屋は大階段の奥に位置していて、廻廊状の展示室に囲まれた場所になるので、天井がとても高いのです。 これまでも、「滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」や「みちのくの仏像」など大型の仏像の展示や、やはり新型コロナで幻になってしまった特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」などが開かれています。

会場に入ると、超センターに十一面観音さまが単独ガラスケースに入っていらっしゃいます。 私は、仏像は現地の御堂の中が一番と思っている派ですが、360°ぐるりと、しかも間近で観られるのは博物館ならではなんですよね。 今回も広い空間のほぼ中央に安置されているので、ぐるりと一周、更に近づいたり離れたりしながら、天平を代表する美仏を堪能します。 現地にも行ったことがあって、その時は収蔵庫に1人きりだったので、床に座って15分ほどゆっくり対峙したんですが、ガラス越しなので後ろは全く観られません。 大きな仏像なので頭上の面までは見えないのですが、乾漆仏の柔らかな肩や背中を観られて大満足です。 

それから、正面から観た時の背景が、この像が元々安置されていた大神神社の三ツ鳥居と、神社の御神体である三輪山になっています。 造像当時を偲ぶ展示で、とても神々しい感じがしますね。 一緒に安置されていた、国宝の地蔵菩薩や正暦寺の日光月光菩薩も集合しています。 これは壁際に展示されていて、当時の仏殿を再現!ということではありませんでした。

この場所での展覧会は、隣の特4室も使ったりしますが、今回は特5室のみで、展示品があまり多くないことは元から予想していましたが、やはりちょっと少なめかなと思いました。 像の旧パーツ類や、大神神社に伝わる経典や境内の図絵、調度品の他、三輪山近辺で出土した勾玉や土製品などの埋納品が多いです。 コロナ禍で人数制限がかかってしまい、展覧会の価格があがっているので、今回は大人¥1,500という値段設定です。 2年前なら¥1,000くらいかなというボリュームですが、こればかりは仕方ないですね。 人数制限されて快適に観られる代金と考えましょう。

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