北野天満宮のこと
菅原道真が、藤原時平の讒言で九州の太宰府に左遷になり、現地で失意のまま亡くなると、京都で起きた天変地異が道真の祟りとされ、御霊をなぐさめるため官位の追贈などが行われた。
その後、北野の地に道真がまつられてあったが、藤原氏が社殿を寄進し境内が整う。 一条天皇は勅使を遣わして祈願をし、以降「北野天満天神」とされる。 一条天皇は後に行幸で当地を訪れ、以降も天皇や上皇の行幸があり、現在まで栄えている。 学問の御利益があるとして、受験生の参拝が多いほか、道真が好んだとされる梅が多く、初春は梅苑が人気。
国宝『北野天神縁起』
菅原道真の霊を鎮めるために建てられた「北野天満宮」の縁起を描いた絵巻で、詞書に承久元年(1219年)の年号が出てくるため「承久本」と通称される。 一般的に、巻物の紙は短辺を継いで細長い紙を作るが、この絵巻は長辺を継いでいるため縦52cmと非常に大型である。
菅原道真の生前の伝記、怨霊の祟りから天神として祀るまで、北野天神の利益などが8巻に描かれる。 作者は不明だが、社伝では似せ絵の名手だった藤原信実の作だと伝わり、詞書はその筆跡から4名によって書かれたと考えられている。
この国宝を観るには
北野天満宮の宝物殿では、ごくまれに特別展として公開されるだけで、常時公開はされていない。 数年単位だが、博物館などへ貸し出されることもある。
公開履歴
2019/11/1~11/10 北野天満宮宝物殿「京都非公開文化財特別公開」
2019/9/14~10/6 石川県立歴史博物館「加賀前田家と北野天満宮」
2019/9/1~9/7 北野天満宮 宝物殿「珠玉の天神美術」
2019/2/23~4/14 京都文化博物館「北野天満宮 信仰と名宝」
2017/11/1~11/12 北野天満宮宝物殿「京都非公開文化財特別公開」
2014/1/15~2/9 九州国立博物館「国宝 大神社展」
2013/5/8~6/2 東京国立博物館「国宝 大神社展」
北野天満宮の国宝
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-104
出典:国指定文化財等データベース 一部抜粋
【指定番号】00101-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本著色北野天神縁起
【員数】8巻
【時代・年】1219年
【附指定】紙本墨画同縁起下絵1巻、梅樹蒔絵箱1合
【所有者】北野天満宮
【国宝指定日】1954.03.20