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国宝-工芸|太刀 無銘一文字(日光一文字)[福岡市博物館]

国宝DB-刀剣

福岡一文字派とは

福岡一文字派は、備前国長船町福岡を本拠地とし、後鳥羽院に召され「御番鍛冶」となった「則宗」が、茎(手に持つ部分)に名前などではなく「一」の銘を刻んだので、この名で呼ばれる。

国宝『太刀 無銘一文字(名物 日光一文字)』

福岡一文字派は、刀剣の茎(手に持つ部分)に作者名ではなく「一」と刻むが、この太刀には銘が全く入っておらず、神社に奉納するために銘を入れなかったとも考えられる。 

日光権現(現:日光二荒山神社)に奉納されていたものを北条早雲が譲り受け、後北条に伝わった。 戦国時代に、豊臣秀吉が小田原城を攻めた時に、使者となった黒田如水(官兵衛)に贈られたという。 以降、黒田家に伝わり、第14代当主の長礼氏が亡くなると、国宝『刀(名物へし切長谷部)』など他の家宝と共に福岡市に寄贈され、現在は福岡市博物館に収蔵されている。

享保名物帳に「日光一文字」と記される太刀にあたり、備前の福岡一文字の特徴が多くみられ、傑作といわれる。 身幅が広く、先がつまったような猪首切先で、刃文は丁子乱れに蛙子が交ざる華やかなもの。 黒田官兵衛が譲り受けた時の「葡萄蒔絵刀箱」も残っており、附として国宝に指定されている。

この国宝を観るには

所蔵する福岡市博物館では、黒田家の名宝が交互に展示され、日光一文字も年に1度は公開される。 2月頃に公開されることが多い。

公開履歴

2024/2/14~3/3 福岡市博物館「黒田家名宝展示」
2023/9/15~11/5 福岡市博物館「黒田侯爵家の名品」
2023/2/7~3/5 福岡市博物館「黒田家名宝展示」
2021/7/6~9/5 福岡市博物館「天下取りと黒田孝高・長政」
2020/10/8~11/29 福岡市博物館「大福岡城展
2021/2/4~2/26 福岡市博物館「黒田家名宝展示」
2019/9/7~11/4 福岡市博物館「侍 もののふの美の系譜
2019/2/5~3/3 福岡市博物館「黒田家名宝展示」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-330
【指定番号】00043-00
【指定名称】太刀〈無銘一文字(名物日光一文字)/〉
【ふりがな】たち〈むめいいちもんじ(めいぶつにっこういちもんじ)〉
【員数】1口
【時代・年】鎌倉時代
【作者】一文字
【寸法・重量】身長67.8cm、反り2.3cm、元幅3.2cm、先幅2.3cm、鋒長3.2cm
【品質・形状】鎬造、庵棟、腰反り高く踏ん張りがあり、平肉薄めに引き締まった太刀姿である。鍛は小板目約り、地沸細かに乱映立ち、刃文は重花丁子華やかに蛙子交じり、匂深く下半小沸つき
【附指定】葡萄蒔絵刀箱1合
【所在地】福岡市博物館
【国宝指定日】1952.03.29
【説明】元幅、先幅ともに広く、猪首鋒の力強い形姿は、鎌倉時代中期に流行した姿であるが、重花丁子を交えた華麗な刃文は備前一文字派の得意とする刃文である。『享保名物帳』所載の「日光一文字」が本太刀にあたり、もとは日光権現社に奉納されていたものを北条早雲が手に入れ、同家の重宝としたが、豊臣秀吉の小田原攻めの折に、和睦仲介の労を謝して、北条氏直から黒田孝高に贈り、以後黒田家に伝来した。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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