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国宝-工芸|沢瀉威鎧(兜・大袖付)[大山祇神社/愛媛]

国宝DB-工芸

大山祇神社のこと

瀬戸内海に浮かぶ「大三島」にあり、社伝によると仁徳天皇の御代に創建されたといい、伊予国の一の宮とされた。 全国の山祇神社や三島神社の総本社で、海や戦の神とされる大山積神をまつるため武門の信仰が厚く、多数の奉納品が伝わっている。

大山祇神社[愛媛県大三島]

国宝『沢瀉威鎧(兜・大袖付)』越智押領使好方奉納

現存する最古の大鎧で、社殿では平安前期の延喜(901~923年)に作られたとされ「延喜の鎧(えんぎのよろい)」と呼ばれるが、天慶の乱(939年)~前九年の役(1051~62年)の間頃に作られたと考えられる。 平将門と同時期に兵を挙げた藤原純友を討つために、越智郡の押領使だった河野好方が勅命を受け、その戦勝の御礼として奉納したと伝わる。

胴や肩の「板」はほとんど無くなっているが、革製の小札(こざね)はほぼ残り、その威し方は古墳時代の挂甲や正倉院宝物の雛形にみられる古い様式を伝える。 沢潟威(おもだかおどし)は、複数の色糸を使用して、植物の沢潟を模した三角形の模様を描き出す威し方で、芽が出るとい縁起を担いで古来より好まれた模様。 兜鉢は、鉄板をつなぎ合わせて形作る古い形式で、古墳時代の兜に通じる。

紫糸逆沢瀉威鎧[東京国立博物館]
参考:紫糸逆沢瀉威鎧[東京国立博物館]

この国宝を観るには

本殿の隣に「宝物館」があり、原則として開館時間内はいつでも観ることができる。 宝物館では、8件の国宝全てが原則として常時展示されている。 写真撮影は禁止。

宝物館で観られる国宝

紺絲威鎧(兜・大袖付)
赤絲威鎧(大袖付)
紫綾威鎧(大袖付)
沢瀉威鎧(兜・大袖付)※このページ
牡丹唐草文兵庫鎖太刀拵
禽獣葡萄鏡
大太刀 銘 貞治五年丙午千手院長吉
大太刀 無銘 伝豊後友行

大山祇神社 宝物館

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-450
【指定番号】00156-00
【種別】工芸品
【指定名称】沢瀉威鎧〈兜、大袖付/〉
【ふりがな】おもだかおどしよろい〈かぶと、おおそでつき〉
【員数】1領
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】小札高6.3cm、幅2.9cm、兜鉢高11.5cm、前後径22.1cm、左右径20.3cm
【品質・形状】三行孔の革札を三枚重ねに揺組に緘み、薄く生漆を施した横綴板を三手打の細い萌黄、黄、紅糸をもって澤潟に象り、縦取りに脅している。耳糸、畦目、菱縫はすべて同式の紅糸で施し
【所有者】大山祇神社
【国宝指定日】1954.03.20
【説明】幅の狭い三手組糸をもって縦取りに威した手法は、古墳出土の挂甲残闕、正倉院伝来の挂甲残闕にも共通点があるが、平安時代の遺品としては、法隆寺伝来の澤潟威鎧雛形と本鎧があるだけで、現存鎧中最古のものである。当社では延喜の鎧と伝えているが、天慶の乱以後、前九年の役の間に作られたものと推定されている。

出典:国指定文化財等データベース一部抜

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