国宝『竹厨子』
竹と鉄製の金具で作られた経典を納めるための厨子で、両開きの扉が付いた小型の箪笥のような形をしている。 法隆寺の文献に、法隆寺の東院伽藍を復興した行信大僧都による施入だと、記録が残っている。 この時、聖徳太子の遺品なども一緒に施入された。
細く幅の揃った竹を使用して、高さの1/3ごとに横にも竹が渡され3段になっている。 内部にも3段の棚がついており、天面には寄せ棟風の細工がされている。 蝶番などの金属製金具の他に、装飾の金属鋲も施されている。
行信大僧都のこと
奈良時代の僧で、738年聖武天皇の御代に律師となり、747年には文書に「大僧都行信」とあるので、その頃までに僧正に次ぐ僧侶の高位である「大僧都」を賜ったと考えられる。
聖徳太子の営んだ「斑鳩宮」は、聖徳太子の亡き後に荒廃するが、法隆寺に入った行信によって現在の「東院伽藍」が復興され、夢殿などの堂宇が整備される。 夢殿には奈良時代に作られた国宝『乾漆行信僧都坐像』が安置され、現在も拝観することができる。
この国宝を観るには
東京国立博物館の「法隆寺宝物館」で時々展示される。
公開履歴
2022/10/18~12/18 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2021/7/13~9/5 東京国立博物館「聖徳太子と法隆寺」
2019/4/23~6/23 東京国立博物館 法隆寺宝物館
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-537
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00241-00
【種別】工芸品
【指定名称】竹厨子〈(行信大僧都奉納)/(法隆寺献納)〉
【ふりがな】たけずし
【員数】1基
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【寸法・重量】高54.8cm 幅75.1cm 奥行39.1cm
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1964.05.26
【説明】明治11年法隆寺から皇室に献納された宝物類(法隆寺献納御物の名で親しまれ、正倉院の宝物と並び称されている)の中に含まれているものである。竹厨子は、両開きの扉をもち、内部を三段に区画した厨子形の納経箱で、身を槻(つき)材でつくり、外部を細い斑ら竹をつらねて作ってある。繊細な技法とともに他に類品をみない点、奈良の貴重な遺品である。法隆寺東院縁起仏経〓資財帳に「右奉納大僧都行信師」とあるが、行信(ぎようしん)は、はじめ元興寺で法相宗を学び、広く他宗を兼学したのち法隆寺に止住し、東院の復興につくした奈良の高僧である。
鑑賞ログ
2019年05月
法隆寺宝物館で、木画経箱にかわって展示されていました。 じっくり見ないと節もわからないくらい繊細に作られています。