万葉集とは
奈良時代にまとめられた歌集で、短歌のほか長歌・連歌・旋頭歌・仏足石歌が収められ、編纂には大伴家持が関わったとされる。 歌の数は4,500首を超えるが、その内の4,200首は短歌で、漢字を発音記号として使う「万葉仮名」で書かれる。 平安時代以降の歌集は貴人の歌が中心だが、万葉集は天皇や貴族の歌の上手から、農民や防人の歌まで採用されている。
国宝『万葉集(金沢万葉)』巻第三、第六巻残巻
加賀前田家の所蔵だったので「金沢万葉」と通称される平安時代の万葉集の写本で、雲母刷りをした華やかな料紙「彩牋(さいせん)」が用いられている。 伝承筆者は源俊頼であったが、現在は世尊寺流の藤原定信とする説が強い。 この金沢万葉とは別に、神奈川県の金沢文庫に伝来したと伝わる万葉集「金沢文庫本」も存在する。
明治43年(1910年)に、明治天皇が前田家に行啓した際に、巻第2の大半と巻第4の1部を1帖に仕立てたものを献上し、こちらは2022年11月18日に国宝に指定されることが発表された。 前田家に残った巻第3と巻第6の残巻を1帖に仕立て、これが1955年に国宝に指定されている。
五大万葉集
奈良時代に成立した「万葉集」には多くの写本があるが、平安時代に遡るのは5点のみで「五大万葉集」と呼ばれている。 5点の通称と代表的なものは以下の通り。
藍紙本 国宝『万葉集巻第九残巻(藍紙本)』京都国立博物館
元暦校本 国宝『元暦校本万葉集』東京国立博物館
金沢本 このページの他、皇居三の丸尚蔵館の国宝2帖がある。
天治本 重文「万葉集巻第十五残巻」冠纓神社/香川県
桂本 御物のほか、断簡が各所に分蔵
この国宝を観るには
東京の旧前田邸にある、前田家の文化財を保存管理する「前田育徳会」は現地に展示施設がなく、公開は石川県立美術館や国立博物館などへの貸出時のみとなり、全体的に公開の機会が少ない。
公開履歴
2023/10/14~11/5 石川県立美術館「皇居三の丸尚蔵館名品展」
2021/7/10~7/30 石川県立美術館「文武の誉れ」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-723
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00208-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】万葉集巻第三、第六巻残巻〈(金沢万葉)/(彩牋)〉
【ふりがな】まんようしゅうまきだいさんだいろくざんかん
【員数】1帖
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所有者】前田育徳会
【国宝指定日】1955.02.02