国宝『金銅藤原道長経筒』
奈良県の金峯山経塚から発見された経筒で、表面には24行511字の銘文が刻まれており、藤原道長が41歳の寛弘4年(1007年)に埋納したことがわかる。 道長の生涯を記録した「御堂関白記」の年代とも一致し、道長自らが埋納したと記録されている。
形状は、高さ36cmほどの円筒状で、銅に金メッキが施されている。 経筒の底には「伴延助」と刻まれており、作者の名だと考えられている。 金峯山経塚からは11~13世紀の埋納品が出土しているが、この経筒はその中でも最古級のもので、これ以降に全国で経塚が流行するようになる。
金峯山経塚のこと
奈良県吉野の金峯山寺から熊野まで続く「大峯奥駈道」の途中にある大峰山(おおみねさん)山頂付近に、現在でも女人禁制の「大峯山寺(おおみねさんじ)」があり、護持院と呼ばれる付近の5つの寺が管理し宿坊も兼ねている。 金峯山経塚は大峯山寺の本堂付近で発見され、道長の経筒以外は『大和国金峯山経塚出土品』として何点かが国宝に指定されるほか、重要文化財に指定されたものもあり、東京国立博物館・京都国立博物館・五島美術館・奈良国立博物館で保管されている。
この国宝を観るには
所有者は、吉野の金峯山寺から南東に4kmほどの場所にある「金峯神社(きんぷじんじゃ)」だが、京都国立博物館に寄託されており、同館で時々展示される。
公開履歴
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」※展示期間未確認
2024/7/30~8/18 京都国立博物館 名品ギャラリー
2024/4/27~5/19 大津市歴史博物館「紫式部と仏教」
2024/2/6~3/17 京都国立博物館 名品ギャラリー
2023/10/3~12/10 MIHO MUSEUM「金峯山の遺宝と神仏」
2022/2/8~3/21 九州国立博物館「最澄と天台宗のすべて」
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
2020/6/2~7/5 京都国立博物館 名品ギャラリー
2019/8/14~9/16 京都国立博物館「京博寄託の名宝展」
2017/10/31~11/29 京都国立博物館「国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-840
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00009-00
【種別】考古資料
【指定名称】金銅藤原道長経筒
【ふりがな】こんどうふじわらのみちながきょうづつ
【員数】1口
【国】日本
【時代・年】寛弘4年(1007年)
【ト書】寛弘四年八月十一日在銘/奈良県吉野郡金峯山経塚出土
【国宝指定日】1952.11.22
※このページの写真は、国立歴史民俗博物館の複製品の写真です