安祥寺のこと
京都山科にある安祥寺は、仁明天皇の女御(文徳天皇の母)藤原順子の発願で、入唐僧の恵運によって開かれ、かつては現在の毘沙門堂あたりも含む広大な寺域に多くの伽藍を有する大寺院であった。 荒廃と復興を繰り返し、応仁の乱で一度廃絶するが、江戸時代に復興し、その頃の堂宇が現在まで残る。
開山の恵運は入唐八家の1人で、現在東寺の観智院に安置されている重要文化財「五大虚空蔵菩薩像」は、恵運が唐から請来して安祥寺に安置していたもの。
国宝『五智如来坐像』
安祥寺の創建当時に制作された五智如来で、多宝塔に安置されていた。 多宝塔は明治39年(1906年)に火災で焼失しているが、五智如来はその直前に京都国立博物館に寄託されたため、難を逃れた。 現在も京都国立博物館に寄託され、1階に安置されている。
五智如来は、金剛界の中心となる五仏のことで、東寺(教王護国寺)講堂の立体曼陀羅の中央五仏と同じ構成だが、東寺の像は焼失し再制作されたので、この像が五智如来の最古例となる。 大日如来が大きく(158.6cm)、他の4体は106~109cmほどの坐像で、木造の上に乾漆を盛っている。
大日如来(だいにちにょらい)
阿閦如来(あしゅくにょらい)
宝生如来(ほうしょうにょらい)
阿弥陀如来(あみだにょらい)
不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)
この国宝を観るには
京都国立博物館に寄託されており、1階の仏像展示エリアで公開されることがある。 2019年の国宝指定から2022年秋までは続けて公開されていたが、2023年時点では公開の予定は不明。
2025/1/2~3/23は京都国立博物館で公開されるがそれ以降は不明
京都国立博物館以外での公開
2024/4/13~6/9 奈良国立博物館「空海 KUKAI」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-3507
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00839-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造五智如来坐像
【員数】5躯
【時代・年】平安時代
【所在地】京都国立博物館
【所有者】安祥寺
【国宝指定日】2019年