2020年秋 中止になった特別公開
2020年は、新型コロナウィルスで数多くの展覧会が中止や延期になって、がっかりした方も多いですよね。 それでも、寺社や施設の方の工夫によって、少しずつですが、今まで当たり前だった楽しみが戻ってきました。 それでも、短期間の特別公開やご開帳、狭いお堂に人が集まる法要は、中止や寺社の方のみで行われたりするようです。
このページでは、毎年恒例の公開が中止になったものをまとめています。 情報が分かり次第、追記していきます。
大徳寺「曝涼」国宝多数[京都]
10/11(10月第2日曜日)
曝涼は虫干しのことで、大徳寺の方丈に所狭しと書画が並びます。 今では、実際の風通しというよりも、公開イベントの意味合いが強そうなイベントで、全ての国宝を間近で、しかも国宝の『方丈』で観ることができるんです。 あまりの料に疲れて縁側から庭を眺めると、そこには国宝の『唐門』もあります。 大徳寺の本坊は、秋以降に大規模な修復に入るようなので、来年以降はどうなるのでしょうか?
国宝『大燈国師像』
国宝『観音図・猿図・鶴図(牧谿筆)』
国宝『後醍醐天皇宸翰御置文』
国宝『虚堂智愚墨蹟(達磨忌拈香語)』
神護寺 多宝塔『五大虚空蔵菩薩坐像』[京都]
10/10~12(10月第2週の3連休)、5月に3日間
神護寺の多宝塔に安置される五大虚空蔵菩薩で、東寺観智院のような鳥獣座ではなく、蓮華座に座っています。 こちらのご開帳は、5月と10月に3日間ずつしか公開されませんが、春に続き秋の公開も中止になっています。
銀閣寺『東求堂』[京都]
春と秋に2ヶ月ずつ
日本初の四畳半とされる「同仁斎」のある東求堂は、足利義政が暮らしたところです。 1時間ごとに20名までの参加者で、内部を1室ずつ説明してくださる見学で、1,000円ですが冊子も頂けて満足度の高い公開です。 春・秋とも中止になりました。
松尾寺『普賢延命像』[京都]
同名の寺院がいくつかありますが、国宝の仏画『普賢延命像』を所有するのは、京都府の日本海側で福井県に近い「松尾寺」で、こちらは最寄駅から徒歩50分、最寄のバス停「松尾寺口」からでも徒歩40分もかかるので、車でないと難しいんです。 この仏画は、今年の夏に京都国立博物館で開かれた「聖地をたずねて」の後期で公開されていました。
厳島神社「宝物名品展」[広島]
毎年、10~11月頃に1ヶ月ほど開かれる厳島神社の名品展は、宝物館ではなくて宝物収蔵庫で開かれます。 宝物館はレプリカの展示ですが、この名品展では何点かの国宝が公開されていました。 今年は何が出るかと楽しみにしていましたが残念です。
善通寺『一字一仏法華経序品』[香川]
弘法大師空海の生家跡にある「善通寺」は、お遍路さんの75番札所で、弘法信仰の中心地の1つです。 6/13・14の2日間は、空海が唐から請来したという国宝『金銅錫杖頭』が、11/3にはこの法華経序品が公開されますが、春に続き秋も中止になりました。 経文が1列に10字書かれ、次の行は10躯の仏が描かれ、それが交互に続いている装飾経です。
建長寺「風入れ」[神奈川]
北鎌倉の建長寺では、毎年11月上旬の3日間「風入れ(曝涼、虫干しとも)」が開かれて、鎌倉国宝館に寄託されている国宝『大覚禅師墨蹟』と『蘭溪道隆像』が里帰り展示されていました。 今年は風入れは中止ですが、かわりに「お坊さんとめぐる建長寺特別参拝(昼食付、有料)」が開催されるようです。
足利の文化財一斉公開2020[栃木]
もう10回以上開かれていた秋のイベントで、足利市にある60を超える寺社や博物館で特別公開が行われるはずでした。 昨年の記録とグルメ情報などありますので、気になる方はコチラをご覧ください。
2020年秋 一般の参加できない法要など
興福寺「南円堂開扉」[奈良]
こちらは、特別公開の中止ではなく「法要への一般参加不可」で、12~2時を除けば、内部の拝観をすることができます。 北円堂は春と秋に数週間ずつ開扉がありますが、南円堂は特別公開の年を除けば10/17の1日間しか公開されません。 内部には康慶作の『不空羂索観音像』と『法相六祖像』『四天王立像』が安置されています。
法隆寺『西円堂』[奈良]
10/8に法隆寺の西円堂で開かれる「奉納鏡奉納大般若経転読法要」は、古くから鏡や武具が奉納されていた西円堂に、復元された鏡が奉納されたので、大般若経転読法要が営まれます。 奈良時代には国家の行事として行われていたもので、今年も開催はされるようですが、一般の参加はできず僧侶の方のみで行われるようです。 法隆寺では、夢殿の救世観音開扉や、大宝蔵殿での秘宝展は開催されるようです。