日本の名刀と武具-刀剣の歴史と病魔退散の祈り-展
春日大社国宝殿で、お正月に向けてスタートする展覧会は、春日大社の誇る刀剣と武具がテーマです。 まだまだ新型コロナウィルスの終息が見通せず、世の中が何となく暗い雰囲気ですが、それを吹き飛ばすような「刀剣の歴史と病魔退散の祈り」というサブタイトルがつけられています。
刀剣は日本人の魂ともいわれますが、武器としてだけでなく、古くから魔除けや御神体として、身の回りに置いたり神仏に奉納されてきました。 今回の展覧会は、直刀から太刀や打刀など刀剣の歴史と、病魔退散の祈願としての刀剣類が紹介されるようです。
春日大社には、単独で国宝に指定される刀剣は6口ありますが、『本宮御料古神宝類』『若宮御料古神宝類』の中にも刀剣類が含まれています。 神社の刀剣類は奉納されたものが多いため、華やかな拵が観られるのも楽しいものです。 春日権現験記など、絵巻物に描かれた刀剣類の様子も紹介されるようです。
この展覧会で観られる国宝
本宮御料古神宝類 から8点
春日大社の本殿に奉納されていた神宝類が、一括で国宝に指定されています。 春日大社の古神宝は数がとても多く、292点もの品で構成されています。 その中には武具類も多く、会期を通して刀剣類が、前期には弓矢が展示されます。
通期
黒漆平文飾剣(柄矢失)
黒漆平文飾剣(柄銀打鮫)
黒漆平文飾剣(柄白鮫)
鉾身
前期(12/26~2/7)
梓弓
槻弓
鏑矢
黒塗矢
若宮御料古神宝類 から5点
12月中旬に開催される春日大社の一大イベント「春日若宮おん祭」の若宮神社に奉納された古神宝類です。 こちらは春日大社の神々の御子ということで、神宝類に生き物を象った細工や武具類が多いんです。 その中から、細工の美しい毛抜太刀や、蒔絵の弓などが展示されます。
後期(2/9~4/4)
紫檀地銀樋毛抜形太刀
蒔絵弓(沃懸地牡丹)
蒔絵弓(松喰鶴千鳥文)
水晶鏑矢
金銅尖矢
菱作打刀(中身無銘)
通期
騎馬戦の時代に主流だった太刀から、対面での戦いに向いた打刀に流行が移り、江戸時代に「大小」として差された大きい刀が打刀です。 蒔絵の菱文が美しいこの打刀は、現存最古の打刀だといわれています。
金地螺鈿毛抜形太刀
前期(12/26~2/7)
平安時代中~後期に、天皇を警護した近衛衛府が身に着けたもので、手に握る柄の部分に毛抜型の透かし飾りが開けられています。 しかも、この毛抜き太刀の柄は、純金に近い金で作られているのです。 誰かは特定されていませんが、相当な有力者の奉納品だと考えられています。
沃懸地獅子文毛抜形太刀(中身無銘)
前期(12/26~2/7)
同時期に展示される『金地螺鈿毛抜形太刀』が、後に毛抜きの形式だけ目貫という金具に残したもので、鞘には3頭のかわいらしい獅子が描かれています。
沃懸地酢漿平文兵庫鎖太刀(中身無銘)
前期(12/26~2/7)
金粉を撒き散らした沃懸地の拵で、三つ葉のクローバーのような酢漿がモチーフになっています。 腰から吊るす金具が鎖状になった、格式の高い太刀拵です。
沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀(中身無銘)
後期(2/9~4/4)
前期で展示される『沃懸地酢漿平文兵庫鎖太刀』とほぼ同じ作りで、同時期に作られたものだといわれています。 鎖の上に酢漿が付いています。
金装花押散兵庫鎖太刀
後期(2/9~4/4)
武将がサインのように使う「花押」を散らした兵庫鎖太刀で、花押が誰のものかは特定されていませんが、足利一門の誰かだと推定されています。 春日大社では、足利義満の奉納だと伝わっています。
展覧会 概要
期間:2020/12/26~2021/4/4(前期~2/7、後期2/8~)
休館:2021/2/8(前後期の展示替え)
時間:10:00~17:00(受付は30分前まで)
料金:一般¥500、高大生¥300、小中生¥200
春日大社 国宝殿 公式サイト