復興支援特別展「ひと、能登、アート。」
令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨の復興支援の企画で、賛同した東京の博物館や美術館がそれぞれ展示品を選んで、金沢の3館で展覧会が開かれます。 加賀前田家に伝来した作品の展示が多い石川県立美術館では、平安~昭和までの日本美術や工芸品を中心にした展示。 2020年に東京から移転した国立工芸館では、縄文土器から帝室技芸員の作品まで幅広い工芸品。 現代アートが得意で映え写真の撮れるプールが有名な金沢21世紀美術館では、ルノワールやドガなど近代西洋絵画から井上涼氏が能登まで足を運んで制作したという作品まで、どれも多岐にわたる展覧会です。 能登にゆかりのある作品だったり、復興に向けて力づけられるような作品も多くて、それぞれの館のキュレーターさん方の愛を感じます。
この3館は金沢城公園と兼六園エリアに沿って並んでいて、周囲には由緒ある神社やこの3館以外にも美術館博物館が多いので、ゆっくり時間をとって文化にどっぷり浸るのがよさそうです。 それぞれ展示期間が異なり、12/13~12/21を狙うと全て観ることができます。
石川県立美術館 2025/11/15~2025/12/21
普段から国宝の展示が多い石川県立美術館では2件の国宝が公開される他、元は国宝『鳥獣戯画絵巻』の一部だった断簡や、俵屋宗達の国宝『風神雷神図屏風』の尾形光琳による模写などがあります。 高村光雲の老猿や岸田劉生の麗子像、菱川師宣の見返り美人図といった教科書級の有名作品が並んでいますので、美術館ライト層の方も楽しめる内容だと思います。 別料金で一般¥370かかりますが、仁清の国宝香炉が観られますのでコレクション展も忘れずにご覧ください。
今回は国宝現物の公開はされませんが、能登出身の長谷川等伯による国宝『松林図屏風』を題材に、東京国立博物館とNHKが3DCGを使用して共同制作した映像コンテンツ『8K×国宝 「いま見つめる松林図屏風」』がVRシアターで公開されます。 30分もの大作を無料で観ることができます。
※能登在住の方と災害時に能登にいた方は観覧料金が無料になるようです。
展覧会 概要
日程:2025/11/15~2025/12/21
休館:会期中は無休
時間:9:30~18:00
料金:一般¥1,000、大学生¥800、高校生以下無料
国宝『秋冬山水図』雪舟筆[東京国立博物館]
絵画で最も多く国宝に選ばれているのが雪舟で、なんと6件もあるんです。 こちらは元は4幅の掛軸に春夏秋冬の景色をそれぞれ描いたと考えられていますが、現在は秋と冬の2点しかありません。 のどかな秋景とシンとした寒さが伝わる冬景の対比が面白いです。
国宝『元暦校本万葉集』[東京国立博物館]
万葉集の古写本で、元暦元年(1184年)に内容の精査や校正をする校合をしたことが書かれています。 10名を超える能書家によって書かれたそうで、飛雲という青紫の模様が入った料紙とともに平安末の雅な雰囲気が感じられます。 20冊ある中から第17巻が展示されます。
国宝『色絵雉香炉』[石川県立美術館]※コレクション展
こちらは「ひと、能登、アート。」展ではありませんが、同館のコレクション展(通常展)で常時公開されている国宝です。 京焼の野々村仁清による雉を象った香炉で、別に伝来したのが寄贈によって現在は雄雌が寄り添っています。 国宝は色鮮やかな雄ですが、雌の地味な色合いのグラデーションも実に魅力的です。
※コレクション展は別料金(一般¥370)です

金沢21世紀美術館 2025/12/13~2026/3/1
近現代作品や西洋絵画の多い金沢21世紀美術館では国宝の公開はありませんが、この展覧会はなんと観覧料が無料なのです。 ルノワール、ローランさん、ドガ、ロダンといった西洋美術の巨匠の作品と並んで、佐藤朝山や棟方志功といった近代日本の名匠の作品もあり、これは寒山拾得シリーズでしょうか横尾忠則の2023年の作品などもあって、無料と思えない見応えです。
展覧会 概要
日程:2025/12/13~2026/3/1
休館:月曜日(祝日は開館し翌火曜が休館)、12/30~1/1
時間:10:00~18:00(金土は20時まで)
料金:無料(この館は展覧会によって有料と無料がある)
国立工芸館 2025/12/9~2026/3/1
明治時代に建てられた西洋建築「旧陸軍第九師団司令部庁舎」と「旧陸軍金沢偕行社」を移築した国立工芸館は建物自体が博物館のようで、中のベンチに座っているだけでも豊かな気分になります。 国宝の公開は1点だけですが、片足の宇宙人ぽい遮光器土偶や、絵違いが国宝に指定されている仁清の茶壷など6点の重要文化財、石川県で発展した九谷焼の古い作品などが公開されます。 同期間に被災地の復興を祈念する展覧会「工芸と天気展―石川県ゆかりの作家を中心に―」も開かれていて、17名の人間国宝の作品を含む石川県ゆかりの作家さん方の工芸品を観ることができます。
展覧会 概要
日程:2025/12/9~2026/3/1
休館:月曜日(祝日は開館し翌火曜が休館)、12/28~1/1
時間:9:30~17:30
料金:一般¥1,200、大学生¥700、高校生¥500、中学生以下無料
※「工芸と天気展」との共通券です
国宝『秋草文壺』[慶応義塾]
平安時代に作られた高さ40cmほどの壺で、肩の部分に秋草の模様が彫られています。 川崎市の工事現場から発見された時には、内部に人骨が納められていたので骨壺として使用されたと考えられています。
国宝の陶磁器は室町~江戸時代初期に作られた茶の湯文化に関係するものが多くて、平安時代に名前の残らない職人によって作られたこの壺はちょっと異色です。 これより古い例えば縄文土器や埴輪などは考古資料という分類になりますので、工芸品分野の国宝陶磁器としては一番古いのではないでしょうか。
※この写真は東京国立博物館で撮影したものです

