孔雀明王のこと
孔雀明王は、密教の明王で孔雀に乗り、1面4臂(顔が1つ手が4本)の作例が多い。 明王は憤怒相で表されることが多いが、孔雀明王は菩薩相で作られる。
孔雀明王の画像や像は、平安時代に人気のあった密教の修法である「孔雀経法」の本尊で、真言宗の寺院などに多く伝来する。 孔雀が毒蛇を食べることから、災厄を取り除く、煩悩を取り去るなどの利益があると考えられた。
国宝『孔雀明王像』
本像も菩薩相で優美な姿をしており、着衣や装飾品には金箔や截金などもみられ、院政期の華やかさがよく出ている。 画面の4隅には瓶が置かれる曼荼羅的な構成をしており、これは空海がもたらした様式に倣ったもの。 平安期に描かれた孔雀明王像で現存するのは本作のみ。
現在は、東京国立博物館の所蔵だが、戦前までは原三渓(原富太郎)が所有しており、明治期に政治家の井上馨から購入した。 価格は当時としては破格の1万円で、この件は非常に話題となり、三渓の美術品コレクターとしての名声は高くなった。
この国宝を観るには
所蔵している東京国立博物館の「国宝室」などで数年に一度は観ることができ、その際は写真撮影も可能。 その他、他館への貸出などもある。
公開履歴
2025/4/26~6/15 大阪市立美術館「日本国宝展」※展示期間未確認
2022/10/18~11/13 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2020/7/7~8/16 東京国立博物館 本館3室
2019/7/13~8/7 横浜美術館「原三渓の美術」
2017/11/14~11/26 京都国立博物館「国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-10
出典:国指定文化財等データベース 一部抜粋
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色孔雀明王像
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくくじゃくみょうおうぞう
【員数】1幅
【時代】平安時代
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1951.06.09
鑑賞ログ
2019年7月 横浜美術館「原三渓展」
いかにも平安後期の華やかな仏画です。 色も截金もよく残っていて、とても品の良いお顔の明王さま。 向かって左の右奥手は、レモン?だか別の何とか言う果物らしいのですが、薬壺みたいに見えます。