情報｜東京国立博物館「国宝鳥獣戯画のすべて」2021/4/13～6/20

※緊急事態宣言のため、4/25～5/31は休館。会期を5/30→6/20まで延長

国宝鳥獣戯画のすべて展
この展覧会で観られる国宝
通常展「鳥獣戯画展スピンオフ」
展覧会　概要

国宝鳥獣戯画のすべて展

2020年の夏、オリンピックの時期に企画されていた特別展で、かなり前に情報が公開されたので、話題に上る注目の展覧会でしたが、新型コロナのために2021年春に延期されてしまいました。　鳥獣戯画４巻は、90cm～150cmほどと長大で、これまでの展覧会では前半・後半に分けたり、部分的に公開されていました。　今回は、全巻の全長を全期間で公開するという初の試みです。　まだ心から安心して出かけられる状況ではありませんが、感染対策には気を付けて、無事に開催されることを願います。

2015年に東京国立博物館で開催された「鳥獣戯画－京都高山寺の至宝－」展では、最長６時間待ちになったようで、私が行った時も会場への入場に30分ほど、第２会場の甲巻を観るのに４時間ほどと、かなりの待ち時間を体験しました。　今回、人気の甲巻は混雑対策で、なんと動く歩道に乗って観覧することになるようです。　ロンドン塔の英王室ジュエリーコレクションや、愛知万博の冷凍マンモスの頭でも採用されていましたが、立ち止まることは不可能なので混雑は回避されそうです。

和紙を継いで作られる絵巻は、剥いで継ぎなおされることもあったようで、鳥獣戯画も部分的に流出して掛軸にされたものなどが存在します。　第２章では、元は鳥獣戯画の一部だったと考えられる断簡や、古い時代に模写された摸本などが集められます。

第３章では、鳥獣戯画を所蔵する京都の高山寺を再興した「明恵上人（みょうえしょうにん）」ゆかりの文化財が公開されます。　明恵上人は、肖像画や像を見ると大変穏やかそうに見えますが、戒律を厳しく守って過ごされたようです。　それでも、ゆかりの文物をみていると、ユーモアがあってかわいらしい人柄のような気がしてなりません。　今回は、秘仏の明恵上人坐像がお出ましになり、明恵上人の遺愛品の数々、あの愛らしい子犬もお供についてくるようで、とても楽しみです。

この展覧会で観られる国宝

※4/1に明恵上人歌集を追記して、国宝の件数が３件になりました。

チケット発売を１週間後に控えた3/23時点では、展示品リストがまだ出ておらず、出展される公開は２件しか発表されていません。　高山寺には多くの文化財があるので、リストの発表を楽しみに待ちましょう。

国宝『鳥獣人物戯画絵巻』甲・乙・丙・丁巻［高山寺/京都］

タイトルにもなっていて説明不要な鳥獣戯画は、ウサギやカエルが相撲を取ったり泳いだりするコミカルな場面が有名ですが、これは甲巻と丙巻の１部だけです。　甲巻以外は、動物図鑑のような巻や、人々が競ったり遊んだりする様子を描いたものなど、どれも表情豊かで愛嬌がある楽しいものです。

国宝『華厳宗祖師絵伝（華厳縁起）』［高山寺/京都］

新羅の僧で、華厳宗の開祖「元暁(げんぎょう)」と「義湘(ぎしょう)」の伝記です。　パステルカラーの絵が柔らかい美しさで、言葉が現代のマンガのセリフのように人物の横に書かれているものです。　

国宝『明恵上人歌集（高信筆）』［京都国立博物館］

明恵上人の十七回忌に、弟子の「高信」が明恵上人が生前に詠んだ歌をまとめたもので、明恵上人との贈答歌で相手方が詠んだ歌も収録されているようです。　明恵上人は「月の歌人」といわれるそうで、有名な和歌「あかあかやあかあかあかやあかあかや　あかあかあかやあかあかや月」もこの歌集に収められているようです。

通常展「鳥獣戯画展スピンオフ」

開催期間　2021/3/23～6/6

※5/31追記
特別展の会期延長にあわせて、スピンオフ企画の終了日も 6/6→6/20 に延長されたようです。　特別展を観る方は前後の時間に観ることができますが、総合文化展（通常展）だけを観る方は別途予約が必要です。　14室は予定通り6/6に終了するのでご注意ください。

東京国立博物館では、特別展を観ると通常展も料金内で観ることができ、連動した展示品が公開されることが珍しくありません。　今回は、ズバリ「鳥獣戯画展スピンオフ」という特集展示が企画されています。　超人気の鳥獣戯画ですから、チケットが売り切れて観たくても観られない方が出ることを想定して？！明治時代の画家「山崎董詮」が模写した鳥獣戯画の摸本４巻が公開されるようです。　

会場は３室に分かれていて、２階の階段横にある特別１・２室では、鳥獣戯画の摸本や絵巻の中に出てくる動物たちが手にする小道具の実物、鎌倉～室町時代頃に流行した絵巻や草紙の摸本も公開されます。　１階の陶器の部屋の次にある角部屋14室では、動物をモチーフにした国内外のユーモラスな美術品が並ぶようです。