国宝『扇面法華経冊子』
2つ折りの扇型の料紙にやまと絵を描き、その上に法華経を写経をしたもので、とても装飾性が高く経典だが「絵画」として国宝指定されている。 鳥羽上皇の皇后である高陽院が納めたものだといわれ、当初は法華経8帖と開結2帖の合計10帖が揃っていた。 現在、四天王寺には5帖が残っており、他には東京国立博物館の国宝『扇面法華経冊子』1帖と、その他は断簡となり各所に分蔵されている。
鋭角の扇型の料紙に、やまと絵で貴族の男女や庶民の暮らし、自然や風景などを描き、金銀箔をちりばめて華やかな彩色がされている。 枠線も扇型にあわせ、上が広く下に行くほど幅が狭くなり、文字もこれにあわせて下に行くほど小さい。 法華経は黒墨で書かれているが、女性の髪の毛や男性の烏帽子など黒地の部分には金泥で書かれている。
梶の木
四天王寺宝物館の前には「梶の木」が植えられている。 これは扇面法華経冊子のうち「歌枕梶の葉図」にも描かれ、七夕に梶の葉に和歌を書いた平安時代の習慣。 梶は、当時の紙の原材料にもなっている。
東京国立博物館の扇面法華経も国宝です
この国宝を観るには
四天王寺の宝物館は常時開館ではなく、正月と春に1か月ほど、秋に2ヶ月ほどの特別展を開催する。 その際に出品される事がある。
公開履歴
2025/4/26~6/15大阪市立美術館「日本国宝展」※展示期間未確認
2024/1/1~1/14 四天王寺宝物館「たいしたもんだよ、お太子さん!」
2023/10/11~11/5 東京国立博物館「やまと絵」
2023/1/1~1/14 四天王寺 宝物館「きんきらきん~日本美術の金銀装飾~」
2022/3/12~5/8 四天王寺 宝物館「聖徳太子と四天王寺」
2021/11/17~2022/1/10 サントリー美術館「聖徳太子-日出づる処の天子」
2021/9/4~10/24 大阪市立美術館「聖徳太子 日出づる処の天子」
2021/1/1~1/15 四天王寺 宝物館「新春名宝展 元三大師堂」
2020/1/1~1/14 四天王寺 宝物館「聖徳太子の姿」
2019/1/1~2/3 四天王寺 宝物館「扇面法華経冊子と平安の美」
2018/12/12~12/24 サントリー美術館「扇の国、日本展」
2017/10/31~11/26 京都国立博物館「国宝展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-24
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00021-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本著色扇面法華経冊子(九十八葉)
【員数】5帖
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所有者】四天王寺
【国宝指定日】1951.6.9
鑑賞ログ
2018年12月
サントリー美術館「扇の国、日本」
手のひらを広げたより少し大きいくらいの冊子で、華麗な十二単の姫君が書いてありました。 写経部分も端麗な文字で感心するほど華やかな装飾経でした。