六道とは
仏教で輪廻するという6つの世界のことで、前世の行いによってそれぞれの世界に生まれかわるというもの。 天道・人道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道があり、私たちの生きる世界は上から2つめで、一番上の天人が住むとされる天道でも死の苦しみはある。 日本では平安後期には定着し、六観音や六文銭などは六道に由来する。
国宝『六道絵』
六道全てが残る現存最古の作品で、15幅の掛軸になっている。 平安中期の比叡山の僧「恵心僧都」が往生について記した「往生要集」に基づいて描かれている。 修理前の古い軸木が「附」として国宝に指定されており、その旧軸木に修理の際に書かれた銘によると、元は比叡山横川の霊山院に伝わったものを焼討前に聖衆来迎寺に移送したことがわかる。
天道・修羅道・畜生道・餓鬼道は各1幅ずつ
人道は「人道」「四苦の相」「後の四苦の相」「無常相」の4幅
地獄道は「等活地獄」「黒縄地獄」「衆合地獄」「阿鼻地獄」の4幅
この他に「閻魔王界」と、念仏功徳説話に関するものが2幅ある。
聖衆来迎寺のこと
比叡山の東側の麓にある天台宗の寺院で、比叡山に関連する僧坊が多数集まる坂本エリアよりも更に東の琵琶湖畔にほど近い場所に位置する。 比叡山は織田信長による焼き討ちにあっているが、聖衆来迎寺は森蘭丸の父「森可成」を弔い墓もあったので焼かれなかったとされる。 その為、貴重な文化財が多数残っており「比叡山の正倉院」と呼ばれている。
この国宝を観るには
15幅は美術館や博物館にわけて寄託されている。 毎年8/16には「虫干会(むしぼしえ=曝涼、虫払い)」があり、寺宝が多数公開されるが、六道絵が15幅そろって掛けられるのは摸本で、国宝の現物は数点のみ。 寄託先の博物館などで公開される場合もある。
公開履歴
2024/8/6~9/8 東京国立博物館 国宝室
2023/9/29~11/26 神奈川県立金沢文庫「廃墟とイメージ」
2022/4/12~5/22 京都国立博物館「最澄と天台宗のすべて」
2022/2/8~3/21 九州国立博物館「最澄と天台宗のすべて」
2021/10/12~11/21 東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて」前後期で7幅
2020/10/10~11/1 大津市歴史博物館「聖衆来迎寺と盛安寺」15幅全て
2020/7/23~9/13 京都国立博物館「聖地をたずねて」人道無常相・人道苦相・閻魔王庁・譬喩経所説念仏功徳
2019/8/6~9/1 京都国立博物館「京博寄託の名宝展」畜生道・阿修羅道
2019/8/20~9/8 奈良国立博物館「いのりの世界のどうぶつえん」 阿鼻地獄・人道不浄相
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-145
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00139-00
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色六道絵
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくろくどうえ
【員数】15幅
【時代・年】鎌倉時代
【附指定】旧軸木14本(正和二年、永享三年、文明九年、明応九年、天文七年、永禄九年、寛永八年修理銘、各一本、及び、天和三年修理銘七本)
【所有者】聖衆来迎寺
【国宝指定日】1963.07.01