聖徳太子 日出づる処の天子 展
今年の9~11月に大阪市立美術館で開かれていた展覧会が、東京のサントリー美術館に巡回してきました。 今年は聖徳太子の1400年遠忌(亡くなってから数え年で1400年)なので、奈良と東京の国立博物館では「聖徳太子と法隆寺」展が開かれたり、法隆寺をはじめとする聖徳太子ゆかりの寺々では記念法要が営まれたりしています。
この展覧会は、聖徳太子建立の7大寺の1つで大阪の中心地にある「四天王寺」と、その近くの大阪市立美術館、東京のサントリー美術館の共催で、聖徳太子の生涯や事績と聖徳太子信仰について振り返る展示です。 四天王寺には、太子の佩刀2口をはじめ6件の国宝があり、大阪と東京で展示替えをしながら全て公開されます。 国宝『丙子椒林剣』 は大阪だけの公開でしたが、その他5件の国宝は出展され、前期なら5件全てを観ることができます。
タイトルの「日出づる処の天子」に反応した方も多いのでは?と思いますが、山岸凉子の名作漫画「日出処の天子」の原画も公開されます。 歴史をベースにしたフィクションなんですが、聖徳太子は超能力を持つ超絶美少年で、蘇我蝦夷とのBLシーンなんかもあったりと、ちょっと眉を顰める方もいるかもしれませんが、日本のマンガ史上でも指折りの名作なので、未読の方はぜひこの機会に読んでみて下さい。
この展覧会で観られる国宝
★は大阪の四天王寺所蔵の国宝
通期
七星剣 ★
日本刀と聞いて思い浮かべる湾曲した刀は、平安時代の中~後期に成立した形で、それまでは真っ直ぐでした。 この七星剣(しちせいけん)は聖徳太子が佩刀したと伝わる刀剣で、刃には北斗七星や雲の模様が彫られています。 大阪では公開されなかった国宝です。
懸守 ★
懸守(かけまもり)は名前の通り、首から懸けるお守りで、平安~鎌倉時代の女性が外出するときに身に付けました。 平安時代頃に作られた7点が国宝に指定されていて、前期は「花菱七宝文」、後期は「桜透丸文」が公開されます。 手のひらにちょこんと乗る小ささで、錦に金具が付いてとてもかわいらしく、四天王寺の宝物館では復元品が購入できます。
四天王寺縁起 ★
聖徳太子の直筆で自らの手印を捺したという伝説の残る四天王寺縁起ですが、実際は平安時代頃に作られたと考えられています。 今回は前期にこの「根本本」が、後期には後醍醐天皇が建武2年(1335年)に書写して自身の手印を捺した「後醍醐天皇宸翰本」が公開されます。
扇面法華経冊子 ★
平安時代後期に多く作られた装飾経の1種で、扇形の料紙を金銀箔で飾り、やまと絵で貴人の姿をを描いた、とても華やかなものです。 帖替えと頁替えをしながら、期間を通して観ることができます。
11/17~11/29
国宝『一遍上人絵伝(一遍聖絵)』第8巻[遊行寺/神奈川]
一遍上人の事績を描いた「一遍聖絵」と呼ばれる絵巻で、全12巻ある中から今回は第8巻が公開されます。 全国を巡る一遍上人が、聖徳太子のお墓参りをする場面がある巻なので、そこが公開されるのでしょうか? 2週間弱だけ公開されます。
前期(11/17~12/13)
金銅威奈大村骨蔵器 ★
銅で形を作った上に金メッキをする金銅製の骨蔵器(骨壺のようなもの)です。 表面には391文字が彫られていて、この骨蔵器で埋葬されたのが飛鳥時代の役人で持統天皇や文武天皇に仕えた「威奈大村」であったことがわかります。
後期(12/15~1/10)
醍醐寺文書聖教[醍醐寺/京都]
醍醐寺に伝わる経典や古文書、絵画などが一括で国宝に指定されている「醍醐寺文書聖教」から「三国祖師影」が出展されます。 三国=インド・中国・日本の仏教の興隆に貢献した高僧たちの肖像で、聖徳太子の部分が公開されるのだと思います。
法然上人絵伝[知恩院/京都]
浄土宗の開祖「法然上人」の生涯や事績を48巻の絵巻物にしているもので、その中から第16巻が公開されます。 おそらく聖徳太子に関する場面だと思いますが、どのような場面か楽しみです。
展覧会 概要
期間:2021/11/17~2022/1/10
時間:10:00~18:00(金・土・休前日は~20:00)
休館:火曜日、12/28~1/1(火曜が祝日の場合は18時まで開館)
料金:一般¥1,500、大高生¥1,000
サントリー美術館 公式サイト